昨日、映画「ハンナアーレント」を観てきました。だいぶと前に公開された作品ですが、友人が自主上映会を開いたので、美術館地下の素敵なミニシアターで鑑賞する事ができました。 この映画をスクリーンで観ることができて、本当に良かったです。 私はアーレントの著作を読んだことは無く、よしりん先生がたまに引用されるので、ずっと気になっていました。「凡庸な悪」というキーワードがとても響いたので、どんな人だったのだろう?とずっと気になっていました。 上映日までに劇中でもストーリーの中心となる「エルサレムのアイヒマン」という本を読もうと思っていましたが、なかなか時間を作れず読めないまま当日を迎えました。 冒頭、東日本大震災の後、日本のクリエイターによって制作されたという「what happend before war」という反戦平和のショートムービーが流されて、ちょっとげんなりしましたが、アーレントはそんな偽善的な人物では無いだろうと祈りつつ、ほぼ知識が無いまま彼女が「凡庸な悪」に辿り着くまでのプロセスを、夢中で楽しみました。 結論、私は彼女が大好きになりましたし、あの時代に起こっていた事と現在に、とてもタイムリーなシンクロを感じました。 人間て、悪人たる悪人を作り上げて、寄ってたかって血祭りにあげるのが、大好きなのだと。その悪人が「凡庸」だと形容されると、もはや悪人たりえずに、我慢がならないのですね。 ジャニー喜多川を史上最大の性犯罪者にしたい大衆の心理とちょっと似てるな、と思いました。 アーレントは自身もユダヤ人として迫害を受けた当事者でありながらも、一番冷静にアイヒマンという人を分析しているのに、アメリカ人からもユダヤ人からも猛非難されるところ、なんだかよしりん先生とも重なりました(笑) 非人道的行為を行った人物が、自分達が想像するわかりやすい(ユダヤ人を排斥したいと考える)極悪人ではなく、命令に忠実に従うために思考を停止した人間であり、人はそうなるとモラルも崩壊してどんな非情な事でもできる悪人になってしまうと論じられた事に対して、ものすごく怒るアメリカ人の様子が、現在のキャンセルカルチャー発祥の地の民として、さもありなんと思いました。 主催した友人は、自然素材で香水を作るパフューマリーさんで、毎年誰か1人の女性をイメージした香水を作るそうで、今年はアーレントだったようです。 彼女はしきりに、『アーレントは最終的に「世界への愛」に辿り着きます』とまとめるのですが、私はちょっと引っかかりました。(調べると、アーレントのお弟子さんが彼女について書いた本のタイトルに、そうあるみたいです) それよりも、作中でエルサレムに住む、死の床にあるユダヤ人の友人から、自分の書いた文章を非難されて「ユダヤ人を愛してないのか?!」と聞かれたアーレントが言った 「ユダヤ人を愛しているわけじゃない。私が愛してるのは私の友人達。」という言葉(正確な劇中の文章ではないかもしれませんが)の方が、私はアーレントらしいと思いました。 長々と感想文すみません。まだ未鑑賞の方がいらっしゃったら、是非ご覧になってみて下さい♫ 私は彼女の著作「エルサレムのアイヒマン」、早速今日から読み始めます。
チャンネルに入会
フォロー
小林よしのりチャンネル
(ID:41609162)
昨日、映画「ハンナアーレント」を観てきました。だいぶと前に公開された作品ですが、友人が自主上映会を開いたので、美術館地下の素敵なミニシアターで鑑賞する事ができました。
この映画をスクリーンで観ることができて、本当に良かったです。
私はアーレントの著作を読んだことは無く、よしりん先生がたまに引用されるので、ずっと気になっていました。「凡庸な悪」というキーワードがとても響いたので、どんな人だったのだろう?とずっと気になっていました。
上映日までに劇中でもストーリーの中心となる「エルサレムのアイヒマン」という本を読もうと思っていましたが、なかなか時間を作れず読めないまま当日を迎えました。
冒頭、東日本大震災の後、日本のクリエイターによって制作されたという「what happend before war」という反戦平和のショートムービーが流されて、ちょっとげんなりしましたが、アーレントはそんな偽善的な人物では無いだろうと祈りつつ、ほぼ知識が無いまま彼女が「凡庸な悪」に辿り着くまでのプロセスを、夢中で楽しみました。
結論、私は彼女が大好きになりましたし、あの時代に起こっていた事と現在に、とてもタイムリーなシンクロを感じました。
人間て、悪人たる悪人を作り上げて、寄ってたかって血祭りにあげるのが、大好きなのだと。その悪人が「凡庸」だと形容されると、もはや悪人たりえずに、我慢がならないのですね。
ジャニー喜多川を史上最大の性犯罪者にしたい大衆の心理とちょっと似てるな、と思いました。
アーレントは自身もユダヤ人として迫害を受けた当事者でありながらも、一番冷静にアイヒマンという人を分析しているのに、アメリカ人からもユダヤ人からも猛非難されるところ、なんだかよしりん先生とも重なりました(笑)
非人道的行為を行った人物が、自分達が想像するわかりやすい(ユダヤ人を排斥したいと考える)極悪人ではなく、命令に忠実に従うために思考を停止した人間であり、人はそうなるとモラルも崩壊してどんな非情な事でもできる悪人になってしまうと論じられた事に対して、ものすごく怒るアメリカ人の様子が、現在のキャンセルカルチャー発祥の地の民として、さもありなんと思いました。
主催した友人は、自然素材で香水を作るパフューマリーさんで、毎年誰か1人の女性をイメージした香水を作るそうで、今年はアーレントだったようです。
彼女はしきりに、『アーレントは最終的に「世界への愛」に辿り着きます』とまとめるのですが、私はちょっと引っかかりました。(調べると、アーレントのお弟子さんが彼女について書いた本のタイトルに、そうあるみたいです)
それよりも、作中でエルサレムに住む、死の床にあるユダヤ人の友人から、自分の書いた文章を非難されて「ユダヤ人を愛してないのか?!」と聞かれたアーレントが言った
「ユダヤ人を愛しているわけじゃない。私が愛してるのは私の友人達。」という言葉(正確な劇中の文章ではないかもしれませんが)の方が、私はアーレントらしいと思いました。
長々と感想文すみません。まだ未鑑賞の方がいらっしゃったら、是非ご覧になってみて下さい♫
私は彼女の著作「エルサレムのアイヒマン」、早速今日から読み始めます。