希蝶 のコメント

 感想を記します。
★. ゴーマニズム宣言・第507回「芸能とは何なのか?(前編)」
 初めて読まれるかたにとっては、「藝能」に対するとらえ方が一変する内容だったのではないか、と思います。強いて言えば、天宇受売命の行為は、岩戸に隠れた天照大御神を呼び出すためのもので、そう思うと、皇室と藝能のつながりは深いな、と自分は思います。

 少しつけたしてみます。
 海幸彦・山幸彦の神話は有名なので、ご存じのかたも多いと思うのですが、あの話はただ兄弟が釣り道具と狩りの道具をいれかえた、弟が竜宮城みたいなところへ行った、という単純なものではなく、弟は、海神からのみやげである玉を用いて、兄の海幸彦に罰を与えて家臣にした。そして、海幸彦の子孫である「隼人(はやと)」は、山幸彦の子孫である天皇の前で「隼人舞」という、みづから溺れるような(滑稽な)仕草の舞踊をするようになった、という説話でもあるのです。
 (恐らく)大和朝廷が日本を征したのには、海の民の協力があった、という歴史的な事情をも語っている話だろうとも思われます。興味のあるかたは、(『古事記』にはない)『日本書紀』のみに登場する仁徳天皇とか履中天皇のところで登場する、倭吾子籠(やまとのあごこ)の記述を探してみて下さい(長くなるし、テーマから大幅に外れるので説明はしません。「淤宇宿禰(おうのすくね)」とか「額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかつひこのみこ)」とか、住吉仲皇子などのところを見て下さい)。

 何だか、怨念に近い因縁が、藝能と皇室の間にはあるのかな、と。天皇陛下も、民の幸福のために神に祈ったり、仏に帰依したりしてきたのだから、神事から発展した藝能と共通性があるのかな、シャーマン的なところからしても、と。

 天宇受売命の話も、ひょっとしたら、隼人のそういう話と関連性があるのかな、と想像します。
 そして、皇室とか神社から離れたそうした一群は、猿楽とか能とか、さらには歌舞伎みたいなものへと発展していった、日本神話に性的な話が多いのは、藝能の歩みとも結びついているのかな、といった感じです。
 後篇も楽しみです。

No.197 14ヶ月前

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