我々人間は神の如き万能の視座に立ちえない。それが分かっていれば、世の中全部陰謀だとはならないし、また政府やマスコミや世間が全てだ、ともならない。しょせん中の人はみな、平等に24時間を与えられ、追われるように生き、日に何度も食事や排せつをせねばならず、どんなに頑張ってもいつかは衰え、そのうちボケて徘徊してしまうかもしれない、そんな脆弱な存在に過ぎません。

成り行きで生きて、成り行きで死ぬ。それが全てではありませんが、事象をコントロールしきれないからこそ、いろんなごまかしが生じるわけです。世の中にごまかしが多すぎると、ごまかしている相手が何でも操作している巨人に見えてくる。そこに陰謀論の生じる余地があるのでしょう。実際は、集団浅慮でみんなが適当なことを言ってごまかすから、操られているという風に見えるだけです。ある意味、最終的な責任を負うフィクサーなど存在し得ない。だからこそ厄介なのが現代社会なのでしょう。ラスボスを設定してそれを倒せばハッピーエンド、というほど世の中は単純ではありません。