shiro のコメント

金城先生のご発言はなかなかに興味深く、考えさせられるものがあります。この手の言説は、ひと昔前の庶民の生活実感に沿っているため、一見して納得させられそうな雰囲気がある。しかし、同時に違和感もある。試しに論じてみたいと思います。

「男性が外で働き、女性が家を守る、昔ながらの夫婦関係がよいと考えている」

・これは日本の歴史上一時期だけに成立した生活様式です。こうしたサラリーマン化は主に戦後で、農業を含めた共働きが原則の自営業には当てはまりません。「昔ながら」はじつは普遍的ではありません。よいか悪いかは個人によります。

「男女関係なく仕事を持つべきという考えには反対で、仕事の数が限られているとして、女性が仕事を求める事で仕事をしたいという人の分母が増えると需要と供給のバランスで給料の単価が下がり、女性が家庭に入る事で分母が減って給料単価が上がるので男性の給料だけでも家庭が維持できる」

・家庭が維持できる以前に労働力不足により社会が維持できません。女性があらゆる現場から消えた分の仕事はAIか何かが代替してくれるのでしょうか。それと賃金は需給バランスだけで決定していません。人手不足でも保育や介護業界の賃金は惨憺たる有様です。国際競争激化や円安に増税で、家庭を維持できるだけの金銭は今後ますます得難くなるでしょうし、故に共働きせざるを得ないのが実情です。また、女性に割かなくなった賃金がそのまま男性に上乗せされるほど、世の中は甘くないでしょう。各人の能力と対価の関係を無視してはいけません。

「女性が家庭に居る事で子供も産みやすく、子供をきちんと躾けられると考えています。」

・専業主婦が多かった昭和の時代も虐待や子の非行はいくらでもあったので、なんとも言えませんね。むしろ今の若者は大人しいです。

もっとも、以上は昔が間違っていたわけではなくて、単に時代の流れです。その時代はその時代なりの幸せなり不幸なりがあった。それは「そういうもの」だと思います。

No.225 18ヶ月前

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