希蝶 のコメント

 オドレら正気か、お疲れ様でした。第一部の篠田氏とグレンコさんの話も内容が濃く、衝撃的でした。ウクライナはロシアにとっての、コソヴォ(旧ユーゴスラヴィアの一地域で、セルビアの支配地域で、自治州みたいなところ。セルビアにとっては発祥の地、聖地なのだけれども、その後、アルバニア人が移住し、セルビアからの独立をめざし、紛争になっている)なのだということがよく分かりました。フィンランドの話も出てきたことに感動しました。

 第二部の質疑応答では、的外れな質問をしてしまい、もくれんさんにご迷惑をおかけしてしまったことをお詫びします。いちおう、アルザス・ロレーヌ(ドイツ語名:エルザス・ロートリンゲン)について、簡単なことを説明します。知っているかたは読み飛ばすか、突っ込みを入れてください。

Ⅰ かつてドイツ・フランス(スペインも一部はいる)・北部イタリア地域に「フランク王国」という強大な国がありました。この国の王。ピピン3世およびカール1世の親子は、ゲルマン民族の大移動の結果、分裂してしまったヨーロッパの再統合を目指して頑張っていました(要は戦争をしていた、ということです)
Ⅱ それに目をつけたローマ教皇は、カールに既に消滅した「西ローマ皇帝」の冠を「強制的に」与えました。こうして、フランク王国は「西ローマ帝国」になりました。
Ⅲ その後、カールの子のルートヴィヒ(フランス語名:ルイ)の代になり、3人の子供で「フランク王国」を分割相続することになり(もっと厳密にいうと4人だったのですが、次男は途中でなくなりました)、三男はドイツ地域、四男はフランス地域、そして長男はローマ皇帝位と、ドイツ・フランス国境地帯、および北イタリアを相続しました。この長男の名前がロタールといい、これに因んで、北イタリアをのぞくこの地域を「ロートリンゲン」と呼ぶようになりました。(ヴェルダン条約)
Ⅳ 皇帝ロタール没後、その三人の息子が領土と皇帝の位をさらに分割相続しましたが、結局断絶し、ドイツ王とフランス王が北イタリアをのぞく地域をそれぞれ併合しました(メルセン条約)。以後、皇帝位もドイツとフランスの強い方が相続することになりました。
Ⅴ 以上のようにして、ロートリンゲン地域もドイツへ行ったり、フランスへ行ったりしたのですが、どちらかというと、ドイツ側だった時代が多かったようです。しかし、(先のコメントでも記したのですが)、18世紀にオーストリアのハプスブルク家に男子相続者がいなくなり、マリア・テレジアが継承する段になって、皇帝のカール6世は、娘の婿として、ロートリンゲン公のフランツ・シュテファンを選びました。その代償として、ロートリンゲン地域は完全にフランスに割譲させられました。この状況が長く続きます。
Ⅵ このロートリンゲン地域が、フランス名、アルザス・ロレーヌにあたるのですが、その後、ドイツを統一したプロイセン王国がフランスのナポレオン三世と交戦し(普仏戦争)、結果、フランス皇帝が捕虜になり、その後も抵抗しましたが、フランスは敗れました。その結果、今度はプロイセンがアルザス・ロレーヌを領有することになりました。
Ⅶ そして、二十世紀にはいり、第一次世界大戦でドイツが敗退し、再度、アルザス・ロレーヌはフランスのものになりました。これに対し、ヒトラーのナチスドイツは再度アルザス。ロレーヌを奪還し、さらにフランスを占領してペタン政府と呼ばれるドイツの傀儡政権をつくりました。その後、ドゴールの亡命政権によってパリが解放され、フランスは独立をとりもどし、さらにアルザス・ロレーヌもフランスのものになりました。以後、現状のままです。

 以上、ざっとおさらいしてみましたが、要はフランスとドイツは兄弟国であり、そのため、国境地帯をめぐって何度も紛争しているのだ、と理解して下さい。EUが生まれたのも、表向きの理由はその解決のためでもあります。
 さらにいえば、この話は日本のあることとも関連があります。分からないかたは、Ⅴをよく読んでみてください。
 また、グレンコさんがフランスはドイツに占領されて良かった、とおっしゃられていましたが、それはロシアと比較してのことです。実際は、フランスがドイツから独立するためにはレジスタンスの血が多く流されています。

 何だか疲れたので、ライジング感想などはまた今度にします。とにかく充実した内容でした。しかし、ウクライナの苦難はまだまだ続くのか、そして、その後も大変なことになるのだな、と思い知らされました。日本人がそのことを自分のものとして理解するにはどうすればいいのでしょうか?

 グッピオのオオカミさん、ライブ後、お話できて良かったです。和ナビィさんも、ただしさん、サトルさん、そのほかの公論サポータのかたがたへ、お疲れ様でした。よしりん先生も、もくれんさんも、篠田さん、グレンコさんも、素晴らしいライブを有り難うございました。

No.148 27ヶ月前

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