Dr.U のコメント

>>162 たけさん(これまで返信には「さま」をつけていたのですが、なんとなく、なぜか知らんが、これから「さん」に変えることにしました。)

 こんにちは、うさぎです。たけさんが興味深いコメントや論文を提示してくださったので、それらを読んだり、小林先生・井上先生の著作を読み返したりして、感染ルートの問題について自分なりに再チェックするいい機会になりました。ありがとうございます。以下、たけさんのコメント(No.162)についての感想です。

 ただ、それを記す前に、まず2点だけ。
 まず一点目は、コメントの書き方について思うこと。

 『コロナ論』①~⑤巻で、コロナの感染ルートについて触れられている箇所は、ざっと見たところ以下の通りです。

③の3章:「バイデンよ、マスクより清潔感」 
 → 欧米の人々の「接触」の多さに言及
③の10章:「マスクは全体主義の象徴」
③の12章:「コロナ君の弁明」
 → 手を消毒しすぎると常在菌が減って逆効果であるという指摘

④の1章:「コロナ君、煽りは犯罪」
 → 絵として「スマホの表面のコロナウイルス」が登場
④の11章:「新コロは腸を目指す」
 および論考「感染リスクが高い場所はトイレだった!? なぜ政府は下水疫学調査を行わない?」
 → 感染メカニズム(呼吸器系ではなく腸で感染)について詳細に解説
④の13章:「若者はワクチンいらない」
 → インフルエンザと新型コロナの感染ルートの違いについて解説
④の14章:「井上正康氏の緊急提言」
 → インフルエンザと新型コロナの感染ルートの違いについて解説

⑤の2章:「糞口感染と空気感染」
 および論考「感染のメインルートは糞口感染?」
 → 糞口感染と、歯周病、スマホ、トイレットブルームなどの関係について解説
⑤の7章:「宮坂正之、権威崩壊」
⑤の9章:「ファクターXとオミクロン株」
 → オミクロン株とデルタ株の感染ルートの違いについて指摘
⑤の最終章:「なんてったってスマホ」
 → 『人体大全』という本の中の「ドアノブ」からのウイルスの広がりの話、人は頻繁に(1日に16回)自分の顔に触れているという話、など

 また、小林先生と井上先生の『コロナとワクチンの全貌』では、第三章「誰も言わないコロナの正体」で、コロナの感染ルートについて詳しい考察がなされています。
 
 以上の箇所をもう一度見て頂ければ分かるように、小林先生と井上先生は、具体的な根拠を挙げながら自説を展開しています。従って、これを批判する場合には、たとえば以下のような形式で(データや論文の引用個所等をしっかり示しながら)、きっちりとした批判をすべきでしょう。

「小林先生(井上先生)が根拠として挙げている~という情報・データは、~という理由で不適切だ・問題がある。」
「『コロナ論』〇巻の○○頁で(あるいは『コロナとワクチンの全貌』の○○頁で)、小林先生(井上先生)は~と主張している。しかし、~という論文の○○頁にある~という指摘からするとこの小林先生(井上先生)の主張は、論理性・実証性において問題がある。」
「~という論文にある~というデータと照らし合わせると、この小林先生(井上先生)の主張は、~という点で矛盾がある。」

 なお、以上のような形で批判をすると、どうしても文章の量が増えてしまいます。その点では、ツイッターよりも、ひとまとまりの文章を書くのに文字数の制限がないフェイスブック(あるいはホームページ)の方が、向いているかもしれません。

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二点目
 No.162よりも前にたけさんが出したコメント(No.14)の、②に関する以下の私の感想(No.33)について。
 私は以下のように記しました。

「→ ご紹介いただいたこの論文では「The nature of infectious contacts and the relative importance of contact, large-droplet spray, and aerosol (droplet nuclei) transmission remain controversial (1–6).(感染性接触の性質と、接触、大きな液滴の噴霧、およびエアロゾル(液滴核)の伝播の相対的な重要性については、依然として議論の余地があります( 1〜6 ))」との文言も見受けられ、貴兄の「接触感染・飛沫感染(所謂サブルート)はほぼない」という判断はやや早計に過ぎるように思われますが、いかがでしょう。この点に関して、もし接触感染や飛沫感染の可能性を積極的に疑問視(否定)するような実証的研究がありましたら、ご紹介いただけるとありがたく思います。」

 これに対して、たけさんは、「これについては私の一番最初の文章であり、①~⑦全体を通しての考察です。②単体でこのことについては言及していません」と述べられています。それは了解したのですが、もう一つの④に関する以下の私の感想については、返答がありませんでした。 
(また、一番最後の文については、とくにご紹介いただけるような実証的研究は御存知ないというふうに理解しました。これとの関連することですが、奇しくも、たけさんは「ぜひ【空気感染を否定する論文】又は【接触(糞口)感染である論文】を知っている方がいたら教えてください。」と記されていますが、つまるところ、コロナの糞口感染についての研究は、まさにこれから強力に推し進められなければならない、という段階にあるということでしょうね。)

④に関する私の感想:
「 → ご紹介いただいた論文には、「米国で実施された研究(16)は手指衛生の大きな影響を示さなかったが、エジプトでの研究(18 )は)手指衛生はインフルエンザのリスクを50%以上減少させたと報告しました。A study conducted in the United States (16) showed no major effect of hand hygiene, whereas a study in Egypt (18) reported that hand hygiene reduced the risk for influenza by >50%. 」、あるいは「インフルエンザの蔓延に関与する感染症。他の実験的研究でも、手指衛生が人間の手から感染性インフルエンザウイルスを減少または除去できることが実証されました(24、25)Other experimental studies also demonstrated that hand hygiene could reduce or remove infectious influenza virus from human hands (24,25).」などといった文言も見受けられます。結論部を読んでも、この論文では、手洗いありとなしでは「有意差なし」と結論しているような箇所は見つけることができませんでしたが、この点についてご意見をいただけますでしょうか。」

 つまり、たけさんが挙げている①~⑦の項目のうち、重要な海外の論文について挙げられた2点(②と④)については、メイン感染ルートは接触ではなく空気であるという自説を裏付けるものとして持ち出すのは、やや不適当ではないかということです。この点、いかがでしょうか。

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 ここからは、たけさんのコメント[No.162]に対する感想です。

 まず、細かいところから。たけさんは、以下のようにコメントされています。

「これにより、新型コロナはインフルエンザの1000~10000倍感染し易いということが分かりました。『WHOの推進する開始投与量100TCID50の1/10投与量から開始したところ、半数以上の感染がみられた。』おそらく、「この数ならまず感染はしないだろう」という量から試しに開始したところ、あっさり半数以上が感染してしまった、ということだと思います。」
 
 → この部分に関しては、問題ありません。続く一文。

「また、時期的に被験者のすべてが初感染とは言えないので10より低い可能性も高いです。」  

→ 論文には、被験者が感染経歴がないことが確認されている、とありますが、この点はいかがでしょうか。(p.5, "All participants were seronegative at screening by Quotient MosaiQ antibody microarray test and had no history of SARS-CoV-2 vaccination or infection.")」

 さらに、これらに続く次の一文については、the_kさんや他の方々からもご指摘がありましたように、私も強い違和感を持ちました。

「とんでもなく空気感染し易いということです。」

 →これはやはり、かなりの飛躍ではないでしょうか。鼻孔内への噴霧のような形でウイルス暴露させた("intranasal drops", p.6)のであれば、接触・糞口感染(口腔内の微細な傷口からのウイルス侵入)の可能性はあるはずです。
 結論的に言うと、この「ヒューマンチャレンジ」の研究・実権は、感染ルートを確かめることを目的にデザインされたものではありません。まさに、たけさん自身がツイッターで御指摘なさっているように「そもそも空気(飛沫)感染前提の実験です。接触感染なんて論外(https://twitter.com/Mission_IMF/status/1538184520633323520)」というスタンスでの研究です。そのため実験者は喉(呼吸系)からの感染を前提としていて、はじめから接触(糞口)感染の可能性を想定していないようです。鼻・喉(および目)のウイルス量のみに注意を払っており、腸内や糞などのウイルス量については、注意を払っているふしが見られません。この意味で、この研究はメイン感染ルートの解明についての議論には、直接的には役に立ちません。

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 続いて、たけさんがツイッターで挙げられていた「10の根拠」の第一のものについて。ツイッターには以下のようにお書きになっていますね。

「【接触(糞口)感染ではない10の根拠】 ①接触感染だけでこのグラフの山は築けるでしょうか?皆の手がウイルスにまみれている?日本でも武漢株以降変異株毎に数千万人に一気に感染し集団免疫ができてきたものと思われます。空気感染なら簡単に説明がつくのですが...。」

 これと、上に挙げた「ヒューマンチャレンジ」を挙げて、ツイッターで以下のように記されていますね。

「多勢に無勢ですが自分の好きな小林よしのり先生のファンが知的好奇心に溢れた方々であると信じています。
特に普通このツイートの①と②で直感的に「こりゃ絶対空気感染でしょw」と思えないとやばい。なぜ糞口感染説を下らないと言えないのか、自分には意味が分からないんです。」https://twitter.com/Mission_IMF/status/1538123452607242242

 私はこれらの御指摘について、違和感を感じます。そもそも、空気感染でなければ(韓国や台湾のグラフに示されるような)感染爆発は起こり得ない、というたけさんの判断は、どれくらい妥当なものなのでしょうか。「直感的に「こりゃ空気感染でしょw」と思えないとやばい」というのは、これは、たけさんの個人的感想でしょうか。それともたけさんの知り合いの専門家の人たちも、同じように直感的に「やばい」と感じられるものなのですか? 医学界には、感染症は空気感染でなければ急激な拡大はしえない、というコンセンサスのようなものが存在するのでしょうか?

 たとえば、インフルエンザについての話をしましょう。御存知の通りこの感染症は毎年国内で1千万以上の感染者を出すと言われているのですが、現在でも依然としてそのメイン感染ルートは接触・飛沫感染であり、空気感染はほとんど考えられない、とされています。
 次のHPでは、監修者のお医者さんは次のように述べています。

「インフルエンザの場合は、飛沫核だけでは感染しないと考えられています。したがってインフルエンザは空気感染しません」

 このように断言した上で、インフルエンザの感染ルートの第一として、接触感染について次のように説明しています。

「接触感染とは、感染者が触れたドアや手すりなどの物を介したウイルスの感染経路です。くしゃみや咳を手で押さえ、そのまま手洗いや消毒をせずに物を触ると、ウイルスが物にも付着してしまいます。そして非感染者がウイルスの付いた物に触れ、手で目をこすったり、食べ物を口にしたりすることで感染します。」
https://www.kenei-pharm.com/general/learn/influenza/6317/

 少なくとも今現在は、基本的にこのような理解が、インフルエンザの感染ルートについての共通理解であるといえます。そうしますと、インフルエンザが接触で急激に感染拡大できるなら、新型コロナが同様に接触で急激に感染拡大できたとしても、それほどおかしなことではないように思われます(この点については、小林先生が紹介されていた『人体大全』での「ドアノブ」からのウイルスの広がりの話が思い出されます)。

 もちろん、たけさんが最新の研究結果にもとづいて、従来のインフルエンザの感染ルートについての理解は不適切であり、そのメイン感染ルートは空気感染だから、毎年、大規模に感染が拡大するのだ、と主張されるというのであれば、それはそれで結構なことだと思いますが。ただ、それは、現段階ではあまり広く受け入れられた見解ではありませんよね。

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 感想としては、これくらいでしょうか。おそらく、たけさんからみて、この指摘は的外れだ、と思われるようなものもあるでしょう。それに対して、きっちり回答してくれてもいいですし、無視してもらってもいいです。とにかく大切な事は、たけさんが自分の疑問をぶつける、それに対して、がやがや、いろんな反応のコメントが出る、それを見て、他の方々が主体的に、「うさぎはおかしなことを言ってる」とか「たけさんのこの部分はどうなのか」とか、思想のネタにしてくれればいいわけで。
 
 以上、ウサギでした。


No.182 29ヶ月前

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