shiro のコメント

配信お疲れ様です。

物事に「筋を通す」という心構えが衰退した時代に、我々は生きています。筋と権威、どちらを取るかで後者を選ぶのが世間の人々です。私はあくまでも前者を採るべきだと思います。「権威の足し算」で「筋」は否定できません。以前ライジングで紹介されたゼンメルワイスがいい例でしょう。

しかし実社会において、筋を通して生きるのはとても困難です。勤め人は組織の論理に左右される。自営業者は下請けの立場で文句が言えない。政治家は派閥の長に逆らえない。学者は学会のお偉方の顔色を窺わなければいけない。作家が書きたいことを書いても売れなければ破産する。だから節を曲げ筋を曲げ、世間に阿って堕落していく。それでもしかし、筋を通さないのは恰好悪いという美学くらいは、腹の底にひとかけら残しておくのが大人だと思います。宮沢氏にはそれがなかった。学者として筋を通したら負ける。だからぶち壊して誤魔化して逃げる。これが権威主義者の末路なのでしょう。

「自説を素人に説明できない専門家はニセモノだ。」

これは、ほんとうにその通りです。我々とて、自分の仕事の分野ではなんらかの専門家であるはずですが、会社で説明に窮して「オレの言うことなんだから黙って従え!」と言ったら「パワハラ」ですよ。そりゃ徒弟関係の中ではそう言わざるを得ないこともあるかもしれませんが、対等な議論の場でやったらおしまいです。説明能力がない人間ほど、「権威の足し算」に逃げる。やれ査読された論文がどうとか、どこそこ大の教授がだのノーベル賞がだのよりも、「筋道だった説明」が出来るかどうかが大事です。出来なければ偽物認定されても仕方がありません。

No.170 29ヶ月前

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