もっと厳密にいうと、『人間の証明』に引用された、西條八十の「ぼくの帽子」という詩です。全文をあげてみます。 母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね? ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、 谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。 母さん、あれは好きな帽子でしたよ、 僕はあのときずいぶんくやしかった、 だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。 母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、 紺の脚絆に手甲をした。 そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。 けれど、とうとう駄目だった、 なにしろ深い谷で、それに草が 背たけぐらい伸びていたんですもの。 母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう? そのとき傍らに咲いていた車百合の花は もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、 秋には、灰色の霧があの丘をこめ、 あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。 母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、 あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、 昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、 その裏に僕が書いた Y.S という頭文字を 埋めるように、静かに、寂しく。 遅くなりましたが、今号も配信、有り難うございます。ただ、今回は私用が立て込んでいたりするので、感想をあげられるかどうか、分かりません。コメント欄もそんなに読めるかどうか分からないです。何とか頑張ってみますが、お休みになってしまったら、御諒承ください。 「オドレら正気か」は視聴します。年の暮れですが、明るく行きたいです。明日は冬至です。
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小林よしのりチャンネル
(ID:22136524)
もっと厳密にいうと、『人間の証明』に引用された、西條八十の「ぼくの帽子」という詩です。全文をあげてみます。
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
遅くなりましたが、今号も配信、有り難うございます。ただ、今回は私用が立て込んでいたりするので、感想をあげられるかどうか、分かりません。コメント欄もそんなに読めるかどうか分からないです。何とか頑張ってみますが、お休みになってしまったら、御諒承ください。
「オドレら正気か」は視聴します。年の暮れですが、明るく行きたいです。明日は冬至です。