<現在人類が直面している化学物質の汚染問題においても、安全性をめぐる二つの立場がある。すなわち、現在のみならず将来に対しても安全性が確認されない化学物質は環境に排出してはならないという立場と、ある化学物質が有害と確認されるまでは排出しても構わないとする立場である。 公害の未然防止や拡大防止といった観点で考えれば、前者の安全性優先の原則には皆が賛成できるはずである。しかし、具体的な対策を講じる段階になると、「原因化学物質が特定されていない」とか、有害性が立証されていないものについては、「その化学物質の規制などを行えば産業活動への打撃が大きい」などの反対が相次ぐことによって、肝心な政策決定、社会的対応は必ずしも迅速に行われない場合が多い。 今日の化学物質による汚染や影響の拡がり、被害が確認された時点での深刻さを考えるとき、有害性やメカニズムの科学的な解明を待ってから対策を講ずるのでは手遅れにならざるを得ず、不確実さが残る中でいかに迅速に行政としての意思決定をすべきか、水俣病の失敗の経験から学ぶことは多い。> 公害は薬害と違う。そんな声も聞こえてきそうですが、どうもそうは思えない。上の文章を薬品に置き換えればよく分かるはずです。口先だけでワクチンの「リスクとベネフィット」を唱える専門家は多い。かれらは言うでしょう、薬害があるなら因果関係を証明してみせろ、と。それが示されたころには取り返しのつかないことになるかもしれないという、当たり前の想像力すら欠いたままで。
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小林よしのりチャンネル
(ID:19522841)
<現在人類が直面している化学物質の汚染問題においても、安全性をめぐる二つの立場がある。すなわち、現在のみならず将来に対しても安全性が確認されない化学物質は環境に排出してはならないという立場と、ある化学物質が有害と確認されるまでは排出しても構わないとする立場である。
公害の未然防止や拡大防止といった観点で考えれば、前者の安全性優先の原則には皆が賛成できるはずである。しかし、具体的な対策を講じる段階になると、「原因化学物質が特定されていない」とか、有害性が立証されていないものについては、「その化学物質の規制などを行えば産業活動への打撃が大きい」などの反対が相次ぐことによって、肝心な政策決定、社会的対応は必ずしも迅速に行われない場合が多い。
今日の化学物質による汚染や影響の拡がり、被害が確認された時点での深刻さを考えるとき、有害性やメカニズムの科学的な解明を待ってから対策を講ずるのでは手遅れにならざるを得ず、不確実さが残る中でいかに迅速に行政としての意思決定をすべきか、水俣病の失敗の経験から学ぶことは多い。>
公害は薬害と違う。そんな声も聞こえてきそうですが、どうもそうは思えない。上の文章を薬品に置き換えればよく分かるはずです。口先だけでワクチンの「リスクとベネフィット」を唱える専門家は多い。かれらは言うでしょう、薬害があるなら因果関係を証明してみせろ、と。それが示されたころには取り返しのつかないことになるかもしれないという、当たり前の想像力すら欠いたままで。