Chariot のコメント

コロナとは別の話題で恐縮なんですが、「女性の地位向上」に関して。
NHK『最後の講義』という番組で、上野千鶴子氏が「主婦」について語った特別授業(番組の企画として催されたもの)を流していたので、後学のために見てみました。
しかし、途中で「あ、これ無理だ。受け付けられない」と感じて、最後まで見られませんでした。すいません、ヘタレです。
上野氏が学問を志すきっかけとなった、女性の社会的地位の低さに対する憤りはすごく理解できます。
でも「家事は労働である」何故ならば「第三者に代替可能であるから」「育児から死を看取るまで社会の拡大再生産に携わっているから」という考え方には大きな抵抗を覚えます。
人間の「情」が介在しない、あまりにも即物的な主張。
では主婦に「賃金」を渡せば問題ないことになるの?
「育児」って「生産」だったの?
だったら「家族」や「婚姻」という概念は不要になるのでは?
突き詰めれば、「女性は子を産む機械」「LGBTには生産性がない」といった発言との親和性までが見えてくるんですけど。

上野氏が「家事は労働」と主張した時、「家事は労働じゃない。愛でやっている」と大きく反発したのは当時の主婦だったのだそうです。
どうやらそういった意見には耳を傾けることはなかったようなのですが、ひょっとしたらここが上野氏のフェミニズムが急進的なものになるか否かの分岐点だったのではないかという気がしました。
百歩譲って当時はそんな余裕などなかったとしても、あらためて振り返って現在の持論に取り込んで再構築ということは可能なのではないか、と。
小林先生がおっしゃっている「フェミニストこそが女性差別者」という主張が、少し感じられた内容でもありました。
ただ、この問題、歴史的な前近代と近現代との間に横たわる大きな社会的変革も関わるように思えるので、しっかりとした自分の考えをまとめるのには相当な時間が必要で、今のところは漠然とした実感レベルの意見しか持ち得ないのが正直なところではあります。

No.586 44ヶ月前

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