基礎医学研究者 のコメント

>>365
かわじ様
はじめまして, 基礎医学研究者と申します。かわじ様のライジングにおけるコメント、興味深く拝見させていただきました。私は感染症が専門ではありませんが、医学生物学の研究は多少分かる為、以下僭越ながら書かせていただきました。

★そもそもPCR検査自体をコロナで使うこと自体は「間違ってはない」んですかね?
・・・(中略)

→まず、これは実験者としての経験からの意見ですが、PCR(正確には、qRT-PCR)においては、サイクル数(Ct値)が30を超えないと検出できないような低コピー数のものについては、検出の再現性がかなり怪しくなると思います。また、宮沢先生と少し異なる言い方をしますと、PCRは微量な材料からスタートできる便利な道具なのですが、1つのprimer(というターゲット遺伝子を検出する道具)で、多検体を検出し続けることはかなり難しく、相当な注意を払わないと原因不明の汚染が起こり訳がわからなくなる、という事でございます(極端な話、エアコンなどでPCR産物が空中を対流しているものを検出していることもあるのではないかと推測しております)。マリスが言われていることは、このような事と関係があるのかもしれません。

さて前置きが長くなりましたが、もしもコロナにより明確な感染症状が出るとして、しかもインフルエンザのような抗体検査キットがないとするのならば、もしかすると、高コピーのコロナウイルスを検出するためのPCR検査(サイクル数を減らすとほぼ同じ意味です)は意味があるのかもしれません。しかしながら、「コロナ脳」で言及されていますように、そもそも論として「(現状より)コロナの診断自体に治療につながる意義が見いだせるのか?」ということが、やはり問題だと思います。

なお、あえて言いますが、現在のような形でPCRを実施することの意義がもしあるとするのならば、あくまでも研究レベルですが、p81-82で言及されていますように、ウイルスの人への伝搬メカニズムが実測できるかもしれないということでございます。怪しい仮定を置いた数理的シミュレーションなどよりもよほど価値があるデータになる可能性はあります(しかしこのようなことは、国民に今起こっているような様々な犠牲を強いてまで行うことではない、と思われますが)。


★p97で記載のあった4種のワクチン、これはp96で言われてる
「igG(免疫グロブリンG)」ってことで、いいのでしょうか?

→確かに、直感的にはそのように思われますよね(これは、なかなか鋭い指摘かもしれません)。ワクチンは皮下に注射されますので、おそらく血中に入り、液性免疫を担当するB細胞をワクチンが刺激し、液性免疫を担うB細胞からのIgG産生を促がすように思えます(実際、実験で使用する抗体を作製するときには、抗原を注射しIgGが多量に含まれる血清を利用致します)。しかしながら、「コロナ脳」のp96で触れられていますように、コロナ(ウイルス)は血中には存在しません。コロナは気道の粘膜上皮から侵入すると考えられるので、本来は粘膜上に分泌される別のタイプの抗体である、IgAの産生を促すのが理想なはずです。しかしながら、この4種類のワクチンの抗原のデザインとは別に、皮下に注射される形で作用させるのだとすると、先ほど触れました粘膜上皮に局所に作用するIgAの産生を促すのはちょと難しいと思われるので、なぜこの4種のワクチンが有効なのかが、私見ではよくわかりません(「コロナ脳」のp98にも、このことについて言及されております)。

これで、お答えしたことになっておりますでしょうか?
以上、ご参考までに

No.390 37ヶ月前

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