>>297 ウサギです。 先に書いたことを、もう少しだけ、すっきりとさせてみました。既に一読してくださった方、どうぞスルーしてくださいませ。 ******************* <コロナとインフルエンザを比較すべきでないという意見に対して> 新型コロナを季節性インフルエンザと比較するのは不適切だ、という意見があります。しかし、以下の理由で、この比較は適切であると考えます。 ことの始まりは2020年1月頃に、日本に「新型コロナ」という《未知の》疫病が入ってきたことでした。この疫病に対して《どの程度の対策をとるのが適切か》、それを決めるための最もオーソドックスなやり方は、過去の事例を参照することです。 この点で、季節性インフルエンザを参照するというのは、まずは妥当であったと言えます。その基本的性質(症状や感染の仕方など)において、過去に国内で発生した疫病の中では、もっとも類似しているからです(参照:https://www.kitatoda-heartclinic.jp/2020/10/14/220/)。そのもっとも類似した事例において、どのような対策が、どれくらいの強度で実施されていたかを参考に、新型コロナの対策を決めればよいわけです。 あらゆる点で、新型コロナが季節性インフルエンザが類似しているならば、それへの対策も、季節性インフルエンザと同様のものを採用すればよい。ところがこの二つの疫病には、小さな差異を別にすれば、一点、きわめて重要な差異がありました。疫病の発生から数か月して明らかになったこと。それは、《この新しい病気は、あきらかにインフルと比較して、死亡率(あるいは100万人当たりの死者数)が低いようだ》ということでした。 そうであるならば、新型コロナに対する感染対策が、インフルに対する対策よりも強力なものになるというのは、どうにも筋が通らない。合理的ではない。普通に考えて、その対策は、インフル以下のものであっていいはずだ。 以上に示した通り、なぜ新型コロナと季節性インフルエンザを比較するかと言うと、それは過去の対策例を参照して、現在の状況に対応するためです。 さらに、季節性インフルエンザの死者数と新型コロナの死者数を比較すべきでない、もし比較したいなら、条件が同じ、2020年のインフル死者数を比較すべきであるとの意見があります。 こうした意見を出す人が言いたいのは、「例年のインフルエンザの死者1万人というのは、大した感染対策をやってないという条件での数字で、2020年の新型コロナの5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字》である。もし新型コロナに対して強力な感染対策をしてなかったら、その死者数・被害者数はもっと多かった(例年のインフル死者数よりもずっと多かった)に違いないのだ。」というようなことなのでしょう。 しかし、私たちは、新型コロナの死者5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》ことを、きちんと認識すべきでしょう。 まず、いわゆる「第一波」の死者の1000名弱は、4月の緊急事態宣言の前に発生した感染の結果として亡くなった方の数ですから、これは明らかに、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》。 そして、7月以降のいわゆる「第二波」の死者4000名弱は、確かに、主要な駅前の人通りこそ30%くらいは減少しましたが、実際には、人々は食事のときや家庭内ではマスクを外して対面・至近距離で会話して唾を掛け合っていたわけですし、商店街や通勤電車などは依然として多くの人であふれていました。4月以降であってもとうてい「接触8割減」なんて達成されていなかったわけです。つまり、4月以降の対策は、社会的副作用は強いくせに、実質的には、感染対策としてはザル対策だった、ということです。 というわけで、新型コロナの死者5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》のだから、この5千人という数字を、条件的に大した違いはなかったと言える例年(過去数年)のインフルエンザの死者1万人と比べるのは、正当であると言えます。 なお、2020年の1・2月(通常のインフル流行期の月)に、大したインフル感染対策もとられていなかったのに何故インフルの流行が少なかったのか、という問題については、ウイルス干渉が起こった、とか、その年がたまたま数年に一度のインフルのハズレ年だった、とか、いろいろな可能性が考えられます。 この点については今後の研究に注目したいところです。
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>>297
ウサギです。
先に書いたことを、もう少しだけ、すっきりとさせてみました。既に一読してくださった方、どうぞスルーしてくださいませ。
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<コロナとインフルエンザを比較すべきでないという意見に対して>
新型コロナを季節性インフルエンザと比較するのは不適切だ、という意見があります。しかし、以下の理由で、この比較は適切であると考えます。
ことの始まりは2020年1月頃に、日本に「新型コロナ」という《未知の》疫病が入ってきたことでした。この疫病に対して《どの程度の対策をとるのが適切か》、それを決めるための最もオーソドックスなやり方は、過去の事例を参照することです。
この点で、季節性インフルエンザを参照するというのは、まずは妥当であったと言えます。その基本的性質(症状や感染の仕方など)において、過去に国内で発生した疫病の中では、もっとも類似しているからです(参照:https://www.kitatoda-heartclinic.jp/2020/10/14/220/)。そのもっとも類似した事例において、どのような対策が、どれくらいの強度で実施されていたかを参考に、新型コロナの対策を決めればよいわけです。
あらゆる点で、新型コロナが季節性インフルエンザが類似しているならば、それへの対策も、季節性インフルエンザと同様のものを採用すればよい。ところがこの二つの疫病には、小さな差異を別にすれば、一点、きわめて重要な差異がありました。疫病の発生から数か月して明らかになったこと。それは、《この新しい病気は、あきらかにインフルと比較して、死亡率(あるいは100万人当たりの死者数)が低いようだ》ということでした。
そうであるならば、新型コロナに対する感染対策が、インフルに対する対策よりも強力なものになるというのは、どうにも筋が通らない。合理的ではない。普通に考えて、その対策は、インフル以下のものであっていいはずだ。
以上に示した通り、なぜ新型コロナと季節性インフルエンザを比較するかと言うと、それは過去の対策例を参照して、現在の状況に対応するためです。
さらに、季節性インフルエンザの死者数と新型コロナの死者数を比較すべきでない、もし比較したいなら、条件が同じ、2020年のインフル死者数を比較すべきであるとの意見があります。
こうした意見を出す人が言いたいのは、「例年のインフルエンザの死者1万人というのは、大した感染対策をやってないという条件での数字で、2020年の新型コロナの5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字》である。もし新型コロナに対して強力な感染対策をしてなかったら、その死者数・被害者数はもっと多かった(例年のインフル死者数よりもずっと多かった)に違いないのだ。」というようなことなのでしょう。
しかし、私たちは、新型コロナの死者5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》ことを、きちんと認識すべきでしょう。
まず、いわゆる「第一波」の死者の1000名弱は、4月の緊急事態宣言の前に発生した感染の結果として亡くなった方の数ですから、これは明らかに、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》。
そして、7月以降のいわゆる「第二波」の死者4000名弱は、確かに、主要な駅前の人通りこそ30%くらいは減少しましたが、実際には、人々は食事のときや家庭内ではマスクを外して対面・至近距離で会話して唾を掛け合っていたわけですし、商店街や通勤電車などは依然として多くの人であふれていました。4月以降であってもとうてい「接触8割減」なんて達成されていなかったわけです。つまり、4月以降の対策は、社会的副作用は強いくせに、実質的には、感染対策としてはザル対策だった、ということです。
というわけで、新型コロナの死者5千人というのは、《強力な感染対策をしたという条件での数字「ではない」》のだから、この5千人という数字を、条件的に大した違いはなかったと言える例年(過去数年)のインフルエンザの死者1万人と比べるのは、正当であると言えます。
なお、2020年の1・2月(通常のインフル流行期の月)に、大したインフル感染対策もとられていなかったのに何故インフルの流行が少なかったのか、という問題については、ウイルス干渉が起こった、とか、その年がたまたま数年に一度のインフルのハズレ年だった、とか、いろいろな可能性が考えられます。
この点については今後の研究に注目したいところです。