>>87 あるいは、いっそのこと、これでしょうか。 ************************ <死んだわが子を抱いて走るゴータミー> 中村元『ブッダ物語』より ゴータミーはブッダのもとにかけつけて、礼拝してたずねた。 ゴータミー:「あなたはどんな病気の者でも元どおりに治す不思議な薬をご存じだそうですが、私の子供も治していただけるでしょうか」 ブッダ:「一人も死人が出たことのない家、つまり、親も子も兄弟も誰も死んだことのない家から白いケシの実をもらうのだ」 ゴータミー:「わかりました。きっと探し出してもらってまいります」 こうしてゴータミーはふたたび死んだ子をかかえて、一軒一軒、死人の出たことのない家を探してもとめてまわった。ところがどうであろう。くまなく戸をたたいてみると、どの家でもかならず誰かが死んでいた。 彼女ははっと気づいた。 「私のあの子は死んでしまったのだわ。いままで私は、自分の子だけは絶対に死なないと思い込んできた。頭のなかでは人は誰でもかならず死ぬとはわかっていながら、自分の子だけは生き続けると思い込んできた。この現実から逃げてはいけない」
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>>87
あるいは、いっそのこと、これでしょうか。
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<死んだわが子を抱いて走るゴータミー> 中村元『ブッダ物語』より
ゴータミーはブッダのもとにかけつけて、礼拝してたずねた。
ゴータミー:「あなたはどんな病気の者でも元どおりに治す不思議な薬をご存じだそうですが、私の子供も治していただけるでしょうか」
ブッダ:「一人も死人が出たことのない家、つまり、親も子も兄弟も誰も死んだことのない家から白いケシの実をもらうのだ」
ゴータミー:「わかりました。きっと探し出してもらってまいります」
こうしてゴータミーはふたたび死んだ子をかかえて、一軒一軒、死人の出たことのない家を探してもとめてまわった。ところがどうであろう。くまなく戸をたたいてみると、どの家でもかならず誰かが死んでいた。
彼女ははっと気づいた。
「私のあの子は死んでしまったのだわ。いままで私は、自分の子だけは絶対に死なないと思い込んできた。頭のなかでは人は誰でもかならず死ぬとはわかっていながら、自分の子だけは生き続けると思い込んできた。この現実から逃げてはいけない」