今朝の「羽鳥慎一モーニングショー」の玉川には驚いた。仕事中に一瞬だけ見たのだが、昨日玉川が自分で発言した、「10月に女性の自殺者が急増(対前年比82.8%)した事を、コロナ禍が原因だとするのは間違っている」という旨の内容に対し、相当の批判があり頭に来たのだろう。今日の玉川は、「女性の自殺者が増えたというが、自殺の原因として一番多いのは『健康問題』だ。だから女性の自殺者が増えた事を、コロナ禍を原因とするのはおかしい」という旨の反論をした。 では、私も君に「厚生労働省自殺対策推進室」が作成した、「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」という資料に基づいて反論してみよう。 そこには「5、原因・動機別の自殺者数の推移」という項目があるのだが、そこでは昭和53年(1978年)~令和元年(2019年)までの自殺の原因・動機別の推移がグラフで示されている。それによると、自殺の原因はダントツで「健康問題」によるものがトップだ。君のおっしゃる通りだ。以下、「経済・生活問題」「家庭問題」などと続く。2019年では「健康問題」による自殺者は「9861人」、2番目の「経済・生活問題」による自殺者は「3395人」とその差は歴然としている。 このデータを見た君は、10月に自殺した女性の多くが、「健康問題」によるものだと考えるやはりだろう。だから、コロナ禍は関係ないのだと……。しかしだ、これらのグラフの直前にはこんな文言が記されている。 「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」と。 健康問題に経済・生活問題が絡んだり、家庭問題から健康問題が誘発されたりと、自殺の原因は複雑なのだ。その為、平成19年(2007年)以降のこのグラフには、「遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき3つまで計上可能としている……」と注意書きが記されているのだ。君は「健康問題」と聞いたら、「病気で痛い、つらい。……よし、死のう!」なんていう風な単純な事態を想定していないか? 自殺には様々な問題が複合的に絡んでいるのだよ玉川君! 「コロナ禍が原因ではない! 健康問題なんだ!」と喚いているのをみると、頭が悪そうに見えるからやめたまえ。 それとだ、ここからが大事なのだが、君は「健康問題」をあまりに単純に考えすぎているぞ? 「健康問題」の内訳をちゃんと調べたか? 健康問題とは厚労省によると、 1、「うつ病」 2、「身体の病気」 3、「統合失調症」 4、「アルコール依存症」 5、「薬物乱用」 6、「その他の精神疾患」 7、「身体障害の悩み」 8、「その他」 ……以上8つになるのだが、このうち最も自殺者が多いのが「うつ病」だ。例えば平成27年(2015年)に「健康問題」を理由に自殺した人は「1万2145人」だが、そのうち一番多いのが「うつ病」によるもので、その数「5080人」だ。うつ病が全体の42%を占めているのだ。このうつ病、コロナ禍によってかなり多くの人達が発症したと考えても差し支えないと思わないか? 多くの女性が自粛や失業、育児等でうつ病を発症し自殺に至ってしまった。普通に考えれば、その答えに繋がるだろう。……あ、ちゃんとデータもあるからね? 今、ちょっと油断しただろ? 2ヶ月程前、9月20日の共同通信の記事によると、ある企業が全国の医師561人にインターネットにて「コロナ禍での生活環境の変化で増えた疾患」についてアンケート調査をしたところ、そのうち4割の医師が「精神疾患」を挙げたそうだ。また、外出自粛や休業要請による生活環境変化を受け、患者が増えたり、症状が悪化したりした疾患を複数回答で尋ねると、「不安障害、うつ病などの精神疾患」が38%で最多だったとの事だ。 ほら、コロナ禍でうつ病が増えているのだ。君のいう「健康問題」とは、その多くを「うつ病」が占めていて、その「うつ病」はコロナ禍で増えたと多くの医師も回答している。それならば、やはりこのコロナ禍が、10月における女性の自殺者が増えた最大の要因として考えても、もはやおかしくはないだろう? どうだ玉川くん? 京大の理系なら、この程度のデータは簡単に理解できるよね? ……以上、警察庁の資料を基にして厚労省が作成した資料と、民間企業が医師に対してアンケート調査をした結果に基づいて君に反論した。少しはご理解いただけたかな?
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小林よしのりチャンネル
(ID:3568288)
今朝の「羽鳥慎一モーニングショー」の玉川には驚いた。仕事中に一瞬だけ見たのだが、昨日玉川が自分で発言した、「10月に女性の自殺者が急増(対前年比82.8%)した事を、コロナ禍が原因だとするのは間違っている」という旨の内容に対し、相当の批判があり頭に来たのだろう。今日の玉川は、「女性の自殺者が増えたというが、自殺の原因として一番多いのは『健康問題』だ。だから女性の自殺者が増えた事を、コロナ禍を原因とするのはおかしい」という旨の反論をした。
では、私も君に「厚生労働省自殺対策推進室」が作成した、「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」という資料に基づいて反論してみよう。
そこには「5、原因・動機別の自殺者数の推移」という項目があるのだが、そこでは昭和53年(1978年)~令和元年(2019年)までの自殺の原因・動機別の推移がグラフで示されている。それによると、自殺の原因はダントツで「健康問題」によるものがトップだ。君のおっしゃる通りだ。以下、「経済・生活問題」「家庭問題」などと続く。2019年では「健康問題」による自殺者は「9861人」、2番目の「経済・生活問題」による自殺者は「3395人」とその差は歴然としている。
このデータを見た君は、10月に自殺した女性の多くが、「健康問題」によるものだと考えるやはりだろう。だから、コロナ禍は関係ないのだと……。しかしだ、これらのグラフの直前にはこんな文言が記されている。
「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」と。
健康問題に経済・生活問題が絡んだり、家庭問題から健康問題が誘発されたりと、自殺の原因は複雑なのだ。その為、平成19年(2007年)以降のこのグラフには、「遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき3つまで計上可能としている……」と注意書きが記されているのだ。君は「健康問題」と聞いたら、「病気で痛い、つらい。……よし、死のう!」なんていう風な単純な事態を想定していないか? 自殺には様々な問題が複合的に絡んでいるのだよ玉川君! 「コロナ禍が原因ではない! 健康問題なんだ!」と喚いているのをみると、頭が悪そうに見えるからやめたまえ。
それとだ、ここからが大事なのだが、君は「健康問題」をあまりに単純に考えすぎているぞ? 「健康問題」の内訳をちゃんと調べたか?
健康問題とは厚労省によると、
1、「うつ病」
2、「身体の病気」
3、「統合失調症」
4、「アルコール依存症」
5、「薬物乱用」
6、「その他の精神疾患」
7、「身体障害の悩み」
8、「その他」
……以上8つになるのだが、このうち最も自殺者が多いのが「うつ病」だ。例えば平成27年(2015年)に「健康問題」を理由に自殺した人は「1万2145人」だが、そのうち一番多いのが「うつ病」によるもので、その数「5080人」だ。うつ病が全体の42%を占めているのだ。このうつ病、コロナ禍によってかなり多くの人達が発症したと考えても差し支えないと思わないか? 多くの女性が自粛や失業、育児等でうつ病を発症し自殺に至ってしまった。普通に考えれば、その答えに繋がるだろう。……あ、ちゃんとデータもあるからね? 今、ちょっと油断しただろ?
2ヶ月程前、9月20日の共同通信の記事によると、ある企業が全国の医師561人にインターネットにて「コロナ禍での生活環境の変化で増えた疾患」についてアンケート調査をしたところ、そのうち4割の医師が「精神疾患」を挙げたそうだ。また、外出自粛や休業要請による生活環境変化を受け、患者が増えたり、症状が悪化したりした疾患を複数回答で尋ねると、「不安障害、うつ病などの精神疾患」が38%で最多だったとの事だ。
ほら、コロナ禍でうつ病が増えているのだ。君のいう「健康問題」とは、その多くを「うつ病」が占めていて、その「うつ病」はコロナ禍で増えたと多くの医師も回答している。それならば、やはりこのコロナ禍が、10月における女性の自殺者が増えた最大の要因として考えても、もはやおかしくはないだろう? どうだ玉川くん? 京大の理系なら、この程度のデータは簡単に理解できるよね?
……以上、警察庁の資料を基にして厚労省が作成した資料と、民間企業が医師に対してアンケート調査をした結果に基づいて君に反論した。少しはご理解いただけたかな?