M.O のコメント

テレビと科学者について少しだけ。
テレビの報道番組に様々な「大人の事情」が絡んでいる、という状況をパロディ化したフジテレビ系『全力!脱力タイムズ』というバラエティがあります。
この番組を見ていると、『モーニングショー』のみならず、その他のワイドショーや報道番組のバカ騒ぎで感じる憂さが晴れてきます。
今年になって見始めたのですが、イギリス風の世相風刺やフランス風のシュールな要素を取り入れていて、日本でこのようなバラエティが成立していたことに今さらになって驚きました。
ポリコレ、視聴率至上主義、弱者聖域化、事務所の力関係といったタブーと言えるようなテーマをうまく笑えるネタに仕上げています。
今のマスコミにうんざりしている方は、この番組を見れば少しは溜飲が下がるかもしれません。

一方でテレビに出る専門家のインチキぶりにうんざりという方も多いと思うのですが、数年前にNHKで放映されていた『フランケンシュタインの誘惑』というドキュメンタリーでは、主に20世紀に活躍した科学者らの研究や発明が人類史に及ぼした「負の影響」について取り上げています。
クローン人間作成や人体蘇生に生涯を捧げた知名度の低いマッドサイエンティストも登場しますが、マンハッタン計画に参画した科学者らや、ラジウムの持つ人体への悪影響を直視しようとしなかったマリー・キュリーなども取り上げられています。
全シリーズのうちの一部しか見ていないのですが、才能ある科学者といえども人の子、何かを発見した時の「興奮」や、社会に役立つ研究成果を上げるための「正義漢」、そして自身が何か大事なものを失った時の「喪失感」といった感情が、時に道を誤らせてしまう、という共通項が見て取れました。
そして、後で過ちに気付いても、相応の社会的地位を得ている人間であればもはや引き返せないところまで来ていれば、後はその道に「執着」するしかない、という最悪の結末に及んでしまうことがあるようです。
この番組を見る一方で、『ブラタモリ』『又吉直樹のエウレーカ』『ろんぶ~ん』などに登場する、いかにも「こんなニッチなものに興味を持ってしまった変人」を自認されているような専門家を見ていると、専門家の「信用できる・できない」の区別がついてきたような気がします。
その違いについて明言する事は難しいのですが、少なくとも「信用できる専門家」は必ずしもテレビ的に「分かりやすい解説」をしてくれるとは限らず、えてして「信用できない専門家」の方が「分かりやすい大言壮語」を発しやすいということは言えるかなと思います。

No.125 48ヶ月前

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