M.O のコメント

久しぶりに投稿させていただきます。
コロナ禍で大変なストレスを抱え、何とか仕事を続けることを最優先させていたので、生放送や道場の動画はここ数ヵ月間は見ていません。
この『ライジング』も全てを精読するには到っていない時もありました。
コロナ・インフォデミックの内実について、自分としては一旦距離を取っておかなければ、感情がおかしくなって仕事が出来なくなるように感じられたためです。

そんな自分の精神安定剤が、視野を変えた読書でした。
道場の登壇された施光恒氏の著作『本当に日本人は流されやすいのか』(角川新書)、木蘭先生がブログで紹介されていた森田洋之著『日本の医療の不都合な真実』(幻冬舎新書)は知己に富んだ内容で、現状の矛盾について考察する大きな手がかりを与えてくれました。

その後に読んだ渡辺将人著『メディアが動かすアメリカ』(ちくま新書)には大変な衝撃を受けました。
アメリカのジャーナリズムと政治の関係について解説した内容ですが、「そもそもテレビとは」「テレビで伝えられるニュースとは」という根本的なところから問題提起をしており、とどのつまりそれらは「ショウ」以外の何物でもない、ドキュメンタリーも含めて公正中立など有り得ない、とかなり思い切った表現を用いて「テレビが本来的に持つ危うさ」を強調しています。
マスコミは「公正中立」であるべきという理想像は幻想であり、彼らはビジネスを展開しているのだ、という現実を叩きつけられました。
日本よりも数段進んでいると思われるアメリカのジャーナリズムでも、大きく堕落してしまう事態を招いており、それもアメリカならではの「自由競争」に翻弄された結果であったりするのは実に考えさせられます。
なので、今号の『ライジング』の内容には100%納得できます。
真実を追求したければ、信頼できる個人が直接文章を作成し、校正された内容をその個人が責任を持って承認した著作や記事、その他の表現物に接するしかありません。
それも自分の頭で考え、時には疑いながらも読んでいかなければなりません。
ここに到って、私はマスコミの見切り方を身につける事が出来たと思います。

その後、仲正雅樹著『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)、岡本太郎著『自分の中で毒を持て』(青春出版社)で、社会と対峙する「個」の在り方、「個」を貫くことの辛さ、最大の敵はエゴやニヒリズムに陥りやすい「自分」であるということ、そして闘い続ける辛さこそ「生きている実感」なのだということを学びました。
自分の中で、人生観や死生観がバージョンアップしたような気がします。

これらの読書、電車内だけでなく、実は仕事の休憩時間中に大食堂の隅っこで読んでました。
コロナ禍の現実を外から見つめる、あるいは「そもそも論」で問い直すという意味で、前述したように自分にとっては精神安定剤になりました。
傍線を引き、本に書き込み、自宅の日記にまとめたりしてインプットとアウトプットを重ねる事が、現実の憂さ晴らしになったようです。
おかげで精神的にも強くなったような気もします。
疑い、考え続けながら終わる人生というものが、ほんのちょっぴりイメージできたような感覚です。
やはり読書は大事ですね。

No.121 40ヶ月前

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