Dr.U のコメント

こんにちは、ウサギ先生と申します。ひとつ皆様と情報共有を。『週刊朝日』という情報誌がありますね。その今週号で、作家の林真理子さんが、岡田晴恵さんとの対談をしています。その対談の冒頭で、岡田晴恵さんは次のように言っています。

「私、マスコミの啓発や注意喚起は大事だったと思います。第一波が小さく済んだのは、報道の注意喚起が大きかったと思うんです。国民も『予防しなくちゃ』と意識を高めたから、症状ある人もない人も含めてみんながマスクをして、手洗いも消毒もしていました。報道が国民の行動変容を動機づけたと思うんですね。」

 ひどい嘘ですね。みなさまご存じの通り、第一波がピークアウトしたのは3月末。そして緊急事態宣言の発令は4月上旬。それまで人々の自粛は本格化しておらず、あるデータではマスクをしていた人は3人に2人以下でしたし、商店街やスーパーは人であふれていましたし、食堂や家庭内ではマスクを外して、ふつうにおしゃべりしていました。ことさらに今のような過剰な自粛はしていませんでした、それにも関わらず、第一波は自然に収束していきました。そのことを、この感染症の専門家が、知らないはずはありません。
 これに対する林真理子さんのコメントが、また泣かせます。

「世の中に、こんなに純粋で真面目な人がいるんだという感動。こんなに不器用な方が、一生懸命テレビに出て、警告をしようとしていたんだと思うと、胸がいっぱいになります。」

 もしかして、これは皮肉で言っているのではなかろうかと思い、もう一度記事をぜんぶ読んでみましたが、(残念ながら)そうではないようです。この二人の無邪気な女性は、自分たちが流布している言説が「社会の空気のこわばり」を強化し、その結果、多くの人が様々な局面で自粛の社会的副作用に苦しみ、怒り、絶望していることに気づいていないのでしょうか。いや、気づいていないということは、あり得ませんね。しかし、仮にそういう人々の姿を目にしたとしても、この優雅なお二人は、自粛で生活が苦しくなったのなら、救済金をもらえばいいじゃない、失業保険や生活保護だってあるでしょ、絶望することなんかないじゃない、などとおっしゃるのでしょう。
 マリー・アントワネットが言ったとかいう「迷言」を思い出します。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない。」 優雅な生活を送ってきた方々は、苦境に陥った人々の絶望とか惨めさを知りませんし、また情報としてそれを知ったとしても、実感したり共感したりすることができないのでしょう。それだけに、ますます、やっかいだと言えます。

No.198 42ヶ月前

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