M.O のコメント

テレビニュースやワイドショーとは徹底して距離を置くようにしているのですが、早朝の時間帯は家族がリビングのテレビをつけているので、そこを通る時は否が応でも内容が漏れ聞こえてしまいます。
今日はやはり、竹内結子さんの自殺という大変にショッキングなニュースについて大きく報じられていたのですが、『おはようコール』という関西ローカルの情報番組(ABCテレビ・テレ朝系)で耳を疑うコメントを聞いてしまいました。

レギュラー出演者のフリーアナ・八木早希のコメント:
「竹内結子さんは以前に一度インタビューさせていただいただけなんですが、子育てしながら明るく仕事をされていて、自殺されるような方ではなかった」
「どうすれば防げたのだろう、と昨日はそればかり考えていた」
番組MC・齋藤真美アナのコメント:
「私も出演されていた映画の公開時に、一度インタビューさせていただいたんですが、自殺するような方だとは思っていませんでした」

近親者とかよほど親しい友人だったというのであればともかく、赤の他人でしかも仕事で一度しか会ったことがなく、当人の直近の様子も知らなかった人たちが、何でずけずけと「自殺するような方ではない」と言えるのだろう。
人間というものの複雑さを顧みず、印象でその人のことを分かったつもりになる傲慢さが感じられます。
希死念慮に囚われている人に会ったことあるんですか?
会った人が「この人自殺しそう」って分かるんですか?

しかも八木早希の「どうすれば防げただろう」って、あんた何様なんだ?
心療内科医でも心理カウンセラーでもなく、自殺を防ぐNPO法人に属しているわけでもない、当人とは全くの赤の他人の貴方が何らかのアクションを起こすことで「自殺を防ぐことが出来たのでは」ってマジで思ってるんですか?
自分の分際をわきまえない思い上がりが甚だしく、加えて自分は社会のためになることを常にやってます的な善人アピールに虫唾が走ります。
さりげなく「子育て」というワードを入れることで、「自分はママさんの味方」というスタンスを感じさせておくのも抜け目ない。
こういうのを「不遜な偽善者」というのでしょうね。
もちろんこの人、超がつくコロナ脳です。

こんな無神経で脳天気な人たちが、毎日のように「ステイホーム」と連呼するのだから、そりゃあ病む人も出てくるでしょうよ。
そもそも、竹内結子さんが「自殺するような方とは思えない」という印象を与えるレベルで生き生きとインタビューに応じていたのは、それだけ女優業に強い生き甲斐を抱いており、それについて語るのが楽しくて嬉しくて仕方がなかったからでしょう。
ならば、ご自身の表現活動を後押ししてくれていると信じていたマスコミが、「ステイホーム」と「ソーシャルディスタンス」を是認し、ドラマ・映画・舞台が「不要不急」扱いされるのもやむなしと報じるようになったことが、大なり小なりのレベルでショックを与えた可能性は充分にあるのではないでしょうか。

人間は強くもあり脆くもある、という当たり前の事実すら踏まえない人たちの想像力の欠如には反吐が出る思いでした。

No.152 48ヶ月前

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