コロナ禍の各種ガイドラインは、マスコミと専門家が大衆を扇動し、それに日和る政治家が公的なお墨付きを与えたものとして存在します。掟は法と違い変幻自在、融通無碍です。厳格な解釈や運用はされない代わりに、いくらでも恣意的になり得る。日本人はこういうのが大好きなのですね。こうした空気読み選手権みたいなのを常時開催して何が楽しいのかさっぱり分かりませんが、それでいいという人が大多数なのでしょう。

結局、日本人は自由でいるのに耐えられないんですよ。それよりも、掟で縛って欲しい。その掟への従属度で人間を評価して欲しい。それこそが世間の人々の望む社会の安定とやらで、掟を破る人間が厳しく罰せられてこそ、「そこで暮らす我々」は安心できると感じる。自粛警察やなんやかは、そういう世間の意識を代表しているわけですね。

自粛警察の代表って、その辺の基地外ジジイではなくて、もちろんマスコミや政治家のことですよ。不倫バッシングだってそういう文脈で捉えると合点がいくでしょう。他人が誰を好きになって何をしようがどうだっていいでしょうに、いちいち目くじらを立てるのは、そんな自由を放置しておくと、自分がどうにかなってしまうほどに脆弱だからです。他人が掟を破ると「世間の共感関係」が損なわれて不安になる。だから掟破りは一罰百戒、晒しものにしてみんなで叩く。コロナ禍のガイドライン破りは店名を公表して叩く。おんなじことです。