Doc のコメント

追記ですが、このような記事が出ています。
計算の中身を確認しましたので、簡単に報告します。

PCR検査を倍にすれば、接触「5割減」でも収束可能?
https://www.asahi.com/articles/ASN557T4WN54ULBJ01C.html
九州大学名誉教授 PCR検査4倍で自粛なし収束へ
https://kbc.co.jp/news/article.php?id=4385181&ymd=2020-05-08

彼の模型(q = 0の時)は変数を書き換えると、私も使用している標準的なSIR模型と一致します。具体的には、私のRには隔離者を含んでいるので、彼のR + Qに対応し、私のgamma = 1 / Tは彼のgamma + pに対応しています(以下、私の方の変数はTを使い、gammaは彼の方の変数を指します)。

問題はTの推定なのですが、彼はこのような仮定に基づいています。
1. 自然治癒率gammaは1/30日とする(通常は1/2週間程度をとるはずで、過小評価かと)。
2. 隔離率pは全て検査、隔離によるものとする(自宅療養等の影響は無視)。
3. 感染後ただちに検査、隔離が可能とする(感染と発症の時間差は無視)。

結果的に、自然治癒率を低い値にしているため、基本再生産数R0が4.2と過大な推定になっており、それを検査・隔離によって実効再生産数1.4(Tは11日)まで押し下げている(R0を過大評価している反動でこちらは過小評価になる)というシナリオになっています。

その上で、隔離率pが検査数に比例して増えると考えると、記事の見出しのような計算になるということです。

計算自体はいいのですが、肝心の変数の見積もりが現実離れしているため、検査の影響を過大に評価する結果になってしまっているのだと思います。

この先生は私と同じ理論物理の研究者であり、専門家ではないので計算を発表するのは自由なのですが、報道する側は確認してから報道しなければなりません。

No.191 56ヶ月前

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