「市民権を得た死」に関して、我々は寛容です。それが容易に排除してしまえるものだったとしても、世間は餅を廃止せよとは言わないでしょう。今、救える命がある、とか格好つけたって、薄皮を一枚めくればそういうものです。ましてコロナは自然現象なんだから、いらないっていう人間のわがままがそう簡単に通用するわけはない。厄災をコントロールする知恵は否定しませんが、人知の限界を弁えないと、それが別の厄災を生じさせかねません。医療従事者の危険性やマンパワーを考えないPCR検査の拡大要求なんてまさにそうです。小林先生のご指摘通り、軽症者のホテル隔離だって早晩行き詰るでしょう。そして、疑似的な都市封鎖も同様です。緊急事態宣言という「言霊」で、コロナ禍は収まりません。自粛という「物忌み」を行えるのは、都（みやこ）のテレワーク貴族様だけで、庶民は働きに出るしかありません。結果、感染拡大は止められません。そのうち、相応の犠牲を出しながらも集団免疫が獲得され、収束に向かうでしょう。ワクチンが出来たら、コロナも正式に「市民」の仲間入りですね。

結局のところ、コロナとは他の厄災同様、共存していくしかない。そんな当り前の結論を受け入れるまでに、どれだけの犠牲を払うのでしょうか。