M.O のコメント

『ゴー宣』と直接関係があることではないのですが、Eテレの『100分de名著』という番組でハヴェル『力なき者たちの力』という著書を取り上げていて、その内容に度肝を抜かれたので少し書かせていただきます。
ハヴェルという人物は、共産党による独裁体制だったチェコスロバキアにおいて反体制の言論活動を行っており、『力なき者たちの力』もその中で著された書物なのだそうです。
放送第1回においては、全体主義というものに対する批判的考察が紹介されていました。
権力とはとにかく「偽る」ものであり、都合の良いように「民族の歴史的な記憶」が徐々に失われていくように仕向けていくのだ、と主張。
ただ、特定の誰か(権力者)が悪いというよりも、そうしたシステムが構築されてしまうと、後は国民が同調圧力に従って忖度し、自動的に「自由」がどんどん失われていく、という寸法。
そうやって国民が思考停止に陥ることこそ、権力にとってはまことに都合が良い状態であるわけです。
また、ハヴェルは「イデオロギー」という代物に対しても、批判的な目を向けています。
「イデオロギー」とは手軽に得られる「故郷」のようなものだ、と。
その「故郷」を得る代わりに、「自分の頭で考え、判断する」「自分の言論には責任がある」という誰もが持っていてしかるべき「常識」を代償として失わなければならない、と説いています。

今の日本にぐっさりと突き刺さることばっかりやん!
権力の偽りに対して鈍感で、少しずつ社会から「自由」が失われていき、右も左も思考停止状態で無責任にイデオロギーに寄りかかった言論を吐き、日本人が歩んできた歴史すらも歪められているような状態。
チェコスロバキアの独裁体制で、このような骨のある言論が存在していたとは知りませんでした。
国や民族が違えども、全体主義に対する危機感というものはある程度は共通した抱くものなのかもしれませんね。

驚いたのは、番組進行に携わっていた伊集院光が、とんがったことを言っていたこと。
当局や周囲から批判されないように「とりあえず掲げている」(本音は違うけれども)というスローガンに対する考察において、伊集院は「愛は地球を救う」みたいなものだ、と発言。
さらに「同調圧力」の考察に関しては、東京オリンピックは本当に必要なのかどうかと言いたいのだけど言えない、みたいなことと発言。
「絆」という単語も、もちろん良いものではあるけれども、それを持ち出すともう誰も逆らえないという妙にこわばったような雰囲気になってしまう、ということも言っていました。
それらをEテレで言っちゃったよ、伊集院光!
GJ以外の何物でもないわ!

まだ第1回しか放映されていないですけど、非常に刺激的な内容でした。
現在の『ゴー宣』が立ち向かうテーマにも関わりがあります。
そして『力なき者たちの力』、読みたいと思います。

No.77 51ヶ月前

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