希蝶 のコメント

 聞造会、お疲れ様でした。遅ればせながら、今号の感想です。

 ゴーマニズム宣言・第358回「山口敬之の慰安婦ねつ造記事」
 以前、川端康成が祖父の死に際を淡々と克明に描写した作品を読んだことがありますが、作家はともかくとしても、ジャーナリストは実際に自分の目で体験したことを淡々と克明に描いていかなければいけないのではないか、と思い、その意味でも「Black Box」が優れていることが良く分かりました。加えて、権力におもねる文章屋が、見当違いのことをすると、周囲にどれだけ甚大な損害を与えるのか、ということも感じました。これは他人事ではなく、自分自身も他者のためにした、と思っていることがそうではなかったという場合があるので、外から見た自分を観察するようなことをしないといけないのでは、という気持ちを新たにしました。
 慰安婦の問題は、戦場における必要悪のようなもので、それがないと戦地の住民に損害と大きな傷痕を与える物であり、先日のSPA!の内容と重なりますが、現代の感覚で吉原遊廓を悪の巣窟と決め込んでしまう愚と同じなのだろう、その意味で山口という人も時代の思想に囚われており、お釈迦様の手から脱出できない孫悟空と同じなのではないか、という気がします。ジャーナリストは現代の人間が求めるものを感じつつ、時代や歴史、伝統やその土地の風俗・風習にも目を向け、全世界的な視野で物事を捉えなければいけないのでしょう。歴史家に通ずるところがある、とも言えるのでしょう。
 権力の忖度やおべっかをする位なら、転職を考えた方がよいのではないか、と山口という人のことを評価します。いっそ、ファンタジー作家にでもなった方がよろしいのではないのでしょうか(ファンタジーだって、決して莫迦にできたものではない、とも思います)。

 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第153回「検察審査会というブラックボックス」
 こちらも、権力という暴力がなすことはなんと理不尽なことなのか、という感慨を(いまさらながら)抱きました。自分たちに都合が悪いことは、何でも黒くしたり、簡素化すればいいのでしょうか。暴力の側からすれば、たかだか女がどうこうされた、位にしか思っていないのでしょう。政治家の不正に対しては公正に働いている政府機関も事の軽重をつけているのでしょうか。こういう犯罪に軽重はない、ただ不正があるだけだ、という視点に基づいて、審査をおこなって欲しい、そうでない政府を信頼できるのか、ということも考えて欲しい、と思いました。

 それでは、次号を期待します。はやく新型コロナウィルスの蔓延が収まりますように。

No.70 51ヶ月前

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