本日(8日)の毎日新聞の夕刊に掲載されている、青木理氏の連載コラム「理の眼」の内容がすっごく変です。 ゴーン被告の海外逃亡について書いているのですが、ゴーン被告を擁護するというよりも、海外逃亡したことに喜びを禁じ得ない、心の中で快哉を叫んでいるとういうニュアンスの文章になっており、非常に気色悪いです。 少し内容を紹介します。 そもそも青木氏は、ゴーン被告が逮捕された際に、このコラムで「検察は「地獄の釜の蓋」を開けてしまったのではないか」と書いたのだそうです。 どうも「地獄の釜の蓋も開く」という慣用句を「パンドラの箱を開ける」という意味として誤用しているようなのですが、そこは今回は目をつむります。 青木氏は日本の刑事司法に「反人権的な悪弊」がいくつも残っている、と主張した上で(この主張自体は、今後議論の余地があるものだとは思います)、ゴーン被告の逮捕によって 「そうした部分に国際的注目が集まるのは必至」 と書いています。 まるで、 「検察、やっちまったな! こんな国際的なVIPを逮捕しちまったら、お前らのやり方が海外から叩かれるぞ~。今までようにはいかなくなるぞ~」 と、「海外側」の威を借りて揶揄しているように感じます。 実際に海外からは「人質司法」と言われる検察のやり方に批判が集まりましたが、その後の裁判所の保釈決定を青木氏は「異例」とした上で、 「裁判所が国際的な批判を意識したのは間違いありません」 と断じています。 ええっ!? 何で「間違いありません」なんて断定できるの? 国内法とか、過去の前例とか、国内世論とか、いろいろ判断材料はあるはずだけど、「国際的な批判」に限定してしまう根拠は何なの? さらに青木氏は、「取り調べに弁護士すら立ち会えない」「警察に逮捕されると警察の留置場にぶち込まれる「代用監獄」」「死刑制度」といった「反人権的な悪弊」を挙げ、ゴーン被告が記者会見で日本の司法の問題点を訴えれば、 「国際的にはゴーン被告への共感も出るでしょう」 と、海外逃亡を好意的に記述しています。 何だかまるで、 「ゴーンが逃亡してくれたおかげで、日本の司法の悪弊があらためられるチャンスが到来した!」 と興奮しているように感じられます。 もっと言えば、 「よくぞ逃亡してくれた! さあ会見でバンバン日本の司法を批判しちゃって下さい!」 「いやまあ、私も日本の司法に問題はあると訴え続けていたんですけどねえ。全然あらたまらないんですよ。だから「国際的な批判」に頼っちゃいます」 「これだけの有名人とあれば、影響力抜群ですよね」 ――といったような青木氏の胸の内が透けて見えます。 青木氏にとっては、ゴーン被告が実際に犯した罪などどうでもよく、ただただ日本の司法が「国際的な批判」にさらされる機会が到来したことを喜ばしく感じているだけのようです。 いやあなた、ジャーナリストでしょうよ。 左翼ではあるけど、綿密な取材に基づいた『日本会議の正体』『安倍三代』といった骨太のルポを著した人でしょうよ。 だったら「国際的な批判」をアテにするのではなくて、自分の言論で世に訴えなさいよ。 他力本願に陥っているから、ゴーン逮捕と海外逃亡に拍手喝采を送るようなねじくれた文章を書いちゃうんでしょう。 韓国や北朝鮮に過度のシンパシーを抱いているのは、もう「そういう人」だから放っとくしかないと思っていたけど、ジャーナリストとしての態度に失望してしまいました。 取材や研究に基づいて、自分の言葉で問題提起をする人だと思っていたけど、そうじゃなかった。 たった一つの短いコラムでここまで批判するのは辛辣すぎるかもしれないけど、「そういう態度」がにじみ出てしまったらもう駄目だと思います。
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本日(8日)の毎日新聞の夕刊に掲載されている、青木理氏の連載コラム「理の眼」の内容がすっごく変です。
ゴーン被告の海外逃亡について書いているのですが、ゴーン被告を擁護するというよりも、海外逃亡したことに喜びを禁じ得ない、心の中で快哉を叫んでいるとういうニュアンスの文章になっており、非常に気色悪いです。
少し内容を紹介します。
そもそも青木氏は、ゴーン被告が逮捕された際に、このコラムで「検察は「地獄の釜の蓋」を開けてしまったのではないか」と書いたのだそうです。
どうも「地獄の釜の蓋も開く」という慣用句を「パンドラの箱を開ける」という意味として誤用しているようなのですが、そこは今回は目をつむります。
青木氏は日本の刑事司法に「反人権的な悪弊」がいくつも残っている、と主張した上で(この主張自体は、今後議論の余地があるものだとは思います)、ゴーン被告の逮捕によって
「そうした部分に国際的注目が集まるのは必至」
と書いています。
まるで、
「検察、やっちまったな! こんな国際的なVIPを逮捕しちまったら、お前らのやり方が海外から叩かれるぞ~。今までようにはいかなくなるぞ~」
と、「海外側」の威を借りて揶揄しているように感じます。
実際に海外からは「人質司法」と言われる検察のやり方に批判が集まりましたが、その後の裁判所の保釈決定を青木氏は「異例」とした上で、
「裁判所が国際的な批判を意識したのは間違いありません」
と断じています。
ええっ!? 何で「間違いありません」なんて断定できるの?
国内法とか、過去の前例とか、国内世論とか、いろいろ判断材料はあるはずだけど、「国際的な批判」に限定してしまう根拠は何なの?
さらに青木氏は、「取り調べに弁護士すら立ち会えない」「警察に逮捕されると警察の留置場にぶち込まれる「代用監獄」」「死刑制度」といった「反人権的な悪弊」を挙げ、ゴーン被告が記者会見で日本の司法の問題点を訴えれば、
「国際的にはゴーン被告への共感も出るでしょう」
と、海外逃亡を好意的に記述しています。
何だかまるで、
「ゴーンが逃亡してくれたおかげで、日本の司法の悪弊があらためられるチャンスが到来した!」
と興奮しているように感じられます。
もっと言えば、
「よくぞ逃亡してくれた! さあ会見でバンバン日本の司法を批判しちゃって下さい!」
「いやまあ、私も日本の司法に問題はあると訴え続けていたんですけどねえ。全然あらたまらないんですよ。だから「国際的な批判」に頼っちゃいます」
「これだけの有名人とあれば、影響力抜群ですよね」
――といったような青木氏の胸の内が透けて見えます。
青木氏にとっては、ゴーン被告が実際に犯した罪などどうでもよく、ただただ日本の司法が「国際的な批判」にさらされる機会が到来したことを喜ばしく感じているだけのようです。
いやあなた、ジャーナリストでしょうよ。
左翼ではあるけど、綿密な取材に基づいた『日本会議の正体』『安倍三代』といった骨太のルポを著した人でしょうよ。
だったら「国際的な批判」をアテにするのではなくて、自分の言論で世に訴えなさいよ。
他力本願に陥っているから、ゴーン逮捕と海外逃亡に拍手喝采を送るようなねじくれた文章を書いちゃうんでしょう。
韓国や北朝鮮に過度のシンパシーを抱いているのは、もう「そういう人」だから放っとくしかないと思っていたけど、ジャーナリストとしての態度に失望してしまいました。
取材や研究に基づいて、自分の言葉で問題提起をする人だと思っていたけど、そうじゃなかった。
たった一つの短いコラムでここまで批判するのは辛辣すぎるかもしれないけど、「そういう態度」がにじみ出てしまったらもう駄目だと思います。