今号の感想を記します。

1.　泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第138回「関東大震災犠牲者慰霊法要レポート」
　一言。『デビルマン』を思いました。デビルマン（漫画版）にも、悪魔狩りをする人間の醜い姿が描かれており、それで美紀ちゃんとかタレちゃんとか、牧村家の人々が殺されるのですよね。実を言うと、私はデビルマンの漫画版はところどころしか目にしたことがなく、たとえて言える立場ではないのですが、恐らくこの関東大震災における朝鮮人デマと同種のものなのでしょう。
　人間は、自分が、あるいは集団が信じ込んでしまったことについて、かくも弱く、かくも恐ろしい存在なのか、そのことが極限状態には端的にあらわれるものなのだ、そんなことを感じました。このことは、右も左も素直に認め、それでも過剰反応はせずに、冷静に、今後こういうことが起きた場合の前者の轍とみるべきなのではありますまいか。

2.　ゴーマニズム宣言・第339回「『条約』すら無視するリベラル左翼の危うさ」
　自分のことをまたあげるのですが、こういう人たちは一見謙虚に見せて、実は傲慢、という話と関連性があるのではないのでしょうか。世界には「条約」という約束事があり、それを守らず、德川家康が大坂城の外堀だけではなく、内堀を埋めるようなことをするようでは、「こいつの言うことは信じられない」という話になり、およそ対等な扱いなどしてくれなくなるものでしょう。それを「韓国にはかつてひどいことをした、いくら謝っても取り返しがつかない、でもカノッサの屈辱のように、誤り続けていればいつかは破門も解け、雪解けの日も近いだろう」という考えは、「相手をかわいそがってる」と言う点で、その人を「ばか」にしており、自分より低く見ています。是としないところは是ではない、というのが相手に対する親切、思いやりであろうと私は思います。
　勿論、韓国に対して砲艦外交をし、併合をしたという過去は消せないし、大震災時の虐殺は取り返しがつかないことですが、私たちは限度を超え過ぎてはいけない、過ぎたるはなお及ばざるが如しということわざを身にしみて感じ取るべきだろうと思いました。こういう意見は、左翼的すぎるのでしょうか。