配信お疲れ様です。とんでもない雨、とんでもない判決、憂鬱になりますね。

もう平成も終わったというのに、昭和の尊属殺人並みの理不尽が罷り通っていると聞き、暗澹たる気持ちになりました。筆舌に尽くしがたいとはまさにこのことです。特に酷いのが次の一文ですね。

「被告人がＡの人格を完全に支配し，Ａが被告人に服従・盲従せざるを得ないような強い支配従属関係にあったとまでは認め難い。」

語るに落ちるとはこのことで、それだけ支配されていないといけないなら、そもそも被害者は構造的に裁判所に訴えるなんてできないでしょう。恐ろしいことに、裁判所はＡさんがこれだけ酷い目にあっても真人間としての人格を保っていたからこそ、抗拒不能でなかったのだ、と結論づけているのです。そして、心が壊れるくらいに支配されていたのなら、そもそも誰も訴えないから「やったもん勝ち」だと結果的に喧伝してしまっている。この点、抗拒不能を否定する「ための理屈」じゃないかという批判の余地はありそうです。本件は心理的抗拒不能の一類型と認定してもいいのではないか。