希蝶 のコメント

遅ればせながら、今号の感想です。
1. ゴーマニズム宣言・第324回「男系カルト・阿比留瑠比、論破まつり」

実を言えば、この話題、いつまで続くのだろう、なぜ男系派や政府は存在もしていない旧宮家の血をひく男子問題に固執しているのだろう、とうんざりするだけなのですが、

新約聖書の「マタイによる福音書」の冒頭にも、アダムからイエスまでの系譜、みたいなものがのっており、誰それの子孫、というだけならいくらでも、それこそ何千万人でもあげられるわけで、古事記とか日本書紀の天皇と豪族の系譜、源平藤橘の子孫と称する武家や庶民の系図などは一部でっちあげがあるにしても、まことしやかで、さもありなむというものであるわけで、そう考えたら、天皇家の血を引いた男子、というのは星の数ほどあげられるわけですが、けれども、そのすべてを皇位継承資格者と言ってしまったら、それこそ皇室の権威をおとしめることにつながりかねないのではないか、と私は思います。男系派と称する人たちは、何か大名家の御落胤さがしと、皇位継承問題とをごたまぜにしてはいまいか、と思うのです。

加えて、伝説はとても重要なもので、それはとある歴史的事実から生まれるもので、その伝えるものがファンタジーであっても、現実感に溢れるものであっても、その契機となる何らかの事実、あるいは反対の事象があったればこそ、と言えるでしょう。
しかし、そのすべてが事実ではないことは、古事記の冒頭の国産み神話や、火の神軻遇突智(かぐつち)を切った体から更に新しい神が生まれたり、伊邪那岐(いざなぎ)命が脱いだ衣服とか、禊ぎをした垢から神が生まれたりと、およそあり得ないことだらけで(まさかクローン人間?)、かりに神武天皇からの伝承が事実と称する男系派は、その長寿をどのように解釈するのでしょうか(一番合理的な解釈は1年を春夏と秋冬の2年とする、という説だけれども)。「初代天皇は神武と呼ぶことにした」というへりくつでは説明しきれぬものがあるように思えます。じゃあ、2代天皇は「綏靖」で、3代天皇は「懿徳」と呼ぶことにしたわけなのでしょうか。10代天皇崇神の和風諡号も「御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)」である説明を、どのようにつけるのでしょうか。

という細かい話はさておいても、現代に壬申の乱や、あるいは和気清麻呂みたいな事態が起こる筈もなく、道鏡の役目をしているのは、その男子絶対主義者たちにほかなりません。「女子や女系では正統ではない」と内乱でも起こす気なのでしょうか。むしろ「君臣の別は定まっている」という宇佐神宮の神託を継承しているのは、よしりん先生たちではないか、と私は思います。

阿比留瑠比とかいう人にはあまり興味がないので、この程度にしておきます。「瑠比」と書いて「るい」とよむこと自体、知らなかったです(歴史的仮名遣いの法則だと、たしかに2文字目以降の「ひ」は「い」になりやすいんですけれども)。

No.115 67ヶ月前

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