M.O のコメント

木蘭先生のブログでも触れられていましたが、ピエール瀧の逮捕に伴う「自粛」が常軌を逸しています。
『あまちゃん』の再放送中止に関しては、音楽を手かげていた大友良英氏がFacebookで反対の意見を表明し、電気グルーヴのCD・DVD出荷停止に関しては、坂本龍一氏が異議を唱えています。
いずれも作品に罪はない、という主張で、私も全くその通りだと思います。
ここで思い出したのが、2年前の山尾志桜里議員の「不倫疑惑報道」でよしりん先生がぶちまけた「八つ墓村」社会論。
もちろん、不倫は犯罪ではないし、国会議員は表現者ではないし、そもそも不倫自体がガセだった、という違いはあるのですが、ピエール瀧の「犯罪」とは別にその「才能」や「表現物」を単体で評価することができない、というのは、日本の「八つ墓村」ぶりを露わにしているのかな、と思いました。
実際に表現されている「価値」よりも、世間体の方を重視する事なかれ主義的な判断。
その「才能」がどれだけ社会にポジティブに与するか、という基準よりも、スキャンダルの有無の方を重視する空気感。
NHKやSME(レコード会社)は、「うちはこれだけ犯罪行為にはシビアに対処しますよ」「危機管理体制は万全ですよ」ということをアピールしたがったいるのではないか、と疑いたくなります。
そもそも、薬物使用に限って言えば、海外にはその犯罪歴のあるミュージシャンなど山のように存在します。
彼らの評価が揺るがないのは、「そういう社会or時代だったから大目に見ている」のではなく、単に作品や演奏が素晴らしいからに過ぎず、そこに本人の犯罪歴やスキャンダルのようなネガティブな要素は介入しないからです。
「公」の領域における「表現者」として評価されており、「私」の領域における薬物使用や不倫やセクハラなどは全く無関係なのだと考えられているのでしょう。
こういう観点から、日本はまだまだ「個」と「公」の認識が遅れているのかな、と感じました。
ただし、新井浩文のような性犯罪に関しては全く別で、慎重でシビアな対応をすべきだと思います。

No.62 70ヶ月前

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