今号も配信、有難うございます。加えて生放送も、お疲れ様でした。 今号の感想の前にSPA!、FLASHの感想です。 ゴーマニズム宣言 安倍首相をドイツの民話にたとえたのが興味深かったです。あちらの話には、まだ「男」の方に同情の余地がありそうですが、この場合はただの堕落です。十日も休みがあったからといって、一体何の得があるのでしょう。いざ仕事に復帰するという際に、リズムがもどらず、ひと苦労といった結果になりそうです。それに、お金がなければ人間は暮らしてゆけないわけですし。知ったかぶりをしますが、キリスト教でもカルヴァン派(マックス・ヴェーバーの解釈)では、労働は信仰義認で予定説で重要だ、みたいに語られていたように記憶しています。 「はたらく」とは「はた」を「楽」にすることだ、と『路傍の石』でも語られていましたが、日本人にとって労働は日常に密接に関わっている大切なものなのだ、と思いました。 よしりん辻説法 昔、『熱中時代』というドラマで「サンタクロースはいるのです。見えないけれどいるのです」という言葉が紹介されていました。夢を信じたり、信仰したりすることに価値がある、みたいな話だったように覚えており、当時は感動したものでした。 嘘を信じ込むことの害悪の例についてはいろいろ言えそうなのですが、一応『こどものおもちゃ』のこういう例をあげておきます(またか、と思わないで下さい)。紗南ちゃんの友達の剛君の妹が卵からひよこを育てようとしていて、それを羽山が「そんなの大人になって恥をかくだけだからすぐにやめさせろ」と言うのだけれども、紗南は「ママが子供のうちはいっぱい夢を見ておけばよい、真実は大人になるにつれて自然にわかってくるものなんだ」と言って、こっそりひよこを買ってきて、卵とすりかえる、というエピソードなのですが、その後、紗南はあることで大恥をかき、羽山の言っていたことが正しかった、と気づくのです。 よく大人になれば、とみな言いますが、精神面の成熟する速度は人によってまちまちで、「そのうちわかるだろう」でよいのか、と私は思います。 そういえば、『テス』(少女漫画の次にイギリスの名作を出して何ですが)「4ヶ月前、この家を出て行ったときのわたしはほんの子供だったのよ。なぜ男の人たちはあぶないって、いってくれなかったの?なぜ用心しろっていわなかったの?ご婦人方は小説を読んで、こんな手練手管を知っているから、どういうふうに身を守るかも心得ているけど、わたしはそんなふうに物事を知る機会がなかったし、母さんはわたしを助けてくれなかった」と母親をなじる場面があり、「無知」というのは決していいわけにはならないのだ、と感じたものです(もっとも初読の際には何を言っているのか、さっぱりだったのですが)。 何だか話が日米同盟の話からずれているようにも感じてきましたが、真実というものは決して甘いキャンディーのようなものではなく、苦い良薬のようなもので、健康のためには、嫌でもオブラートにつつんでごまかすのではなしに、それを直視する勇気は必要なのではないか、と私は思いました。 こんな感じでよろしいでしょうか。 ライジング感想についてはまた改めてにします。風邪がはやっているようですが、健康管理には気をつけて下さい。
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今号も配信、有難うございます。加えて生放送も、お疲れ様でした。
今号の感想の前にSPA!、FLASHの感想です。
ゴーマニズム宣言
安倍首相をドイツの民話にたとえたのが興味深かったです。あちらの話には、まだ「男」の方に同情の余地がありそうですが、この場合はただの堕落です。十日も休みがあったからといって、一体何の得があるのでしょう。いざ仕事に復帰するという際に、リズムがもどらず、ひと苦労といった結果になりそうです。それに、お金がなければ人間は暮らしてゆけないわけですし。知ったかぶりをしますが、キリスト教でもカルヴァン派(マックス・ヴェーバーの解釈)では、労働は信仰義認で予定説で重要だ、みたいに語られていたように記憶しています。
「はたらく」とは「はた」を「楽」にすることだ、と『路傍の石』でも語られていましたが、日本人にとって労働は日常に密接に関わっている大切なものなのだ、と思いました。
よしりん辻説法
昔、『熱中時代』というドラマで「サンタクロースはいるのです。見えないけれどいるのです」という言葉が紹介されていました。夢を信じたり、信仰したりすることに価値がある、みたいな話だったように覚えており、当時は感動したものでした。
嘘を信じ込むことの害悪の例についてはいろいろ言えそうなのですが、一応『こどものおもちゃ』のこういう例をあげておきます(またか、と思わないで下さい)。紗南ちゃんの友達の剛君の妹が卵からひよこを育てようとしていて、それを羽山が「そんなの大人になって恥をかくだけだからすぐにやめさせろ」と言うのだけれども、紗南は「ママが子供のうちはいっぱい夢を見ておけばよい、真実は大人になるにつれて自然にわかってくるものなんだ」と言って、こっそりひよこを買ってきて、卵とすりかえる、というエピソードなのですが、その後、紗南はあることで大恥をかき、羽山の言っていたことが正しかった、と気づくのです。
よく大人になれば、とみな言いますが、精神面の成熟する速度は人によってまちまちで、「そのうちわかるだろう」でよいのか、と私は思います。
そういえば、『テス』(少女漫画の次にイギリスの名作を出して何ですが)「4ヶ月前、この家を出て行ったときのわたしはほんの子供だったのよ。なぜ男の人たちはあぶないって、いってくれなかったの?なぜ用心しろっていわなかったの?ご婦人方は小説を読んで、こんな手練手管を知っているから、どういうふうに身を守るかも心得ているけど、わたしはそんなふうに物事を知る機会がなかったし、母さんはわたしを助けてくれなかった」と母親をなじる場面があり、「無知」というのは決していいわけにはならないのだ、と感じたものです(もっとも初読の際には何を言っているのか、さっぱりだったのですが)。
何だか話が日米同盟の話からずれているようにも感じてきましたが、真実というものは決して甘いキャンディーのようなものではなく、苦い良薬のようなもので、健康のためには、嫌でもオブラートにつつんでごまかすのではなしに、それを直視する勇気は必要なのではないか、と私は思いました。
こんな感じでよろしいでしょうか。
ライジング感想についてはまた改めてにします。風邪がはやっているようですが、健康管理には気をつけて下さい。