M.O のコメント

今週も配信ありがとうございます。
「GAFA」が支配する世界は恐ろしいですが、日本人が「思考停止」へと堕落していくきっかけとなった要因のひとつは、テレビにあるのではないかと個人的に考えています。
特に前世紀末辺りから顕著になってきた、テロップの氾濫。
番組側が「ここ、重要ですよ」「ここ、笑うところですよ」と、わざわざ強調することにより、視聴者はボーッとしていても内容を楽しめるようになってしまいました。
自分にとって「どこが重要か」「何が面白いのか」を考えなくなったんですね。
こうした受け身の姿勢――面白いものが与えられるのを、口を開けてポカーンと待っている状態――が、「思考停止」やネット依存と親和性が高いのかなと思いました。

ただ、悲観するばかりでもなくて、現在はネット依存が進む一方で、「アナログ・現物主義」への回帰ともとれる傾向も見られます。
例えば、音楽業界は「CDが売れなくなった」と言われますが、では配信一辺倒かというとそうではなく、ライブやコンサートの売上は右肩上がりとなっている上、アナログレコードの売上も増加傾向にあります。
若者が「CDという現物」に頓着しなくなり、より生に近いアナログレコードの方に魅力を感じたり、生そのものであるライブに金を使うようになったのだろう、と考えています。
以前、NHK-FMで、アナログレコード特集の番組がありましたが、それを聴いていると「面倒なのが愛おしい」という感覚は若者にもあるようです。
また、お笑いライブや落語会も盛況で、テレビやYouTubeのお笑いだけでは飽き足らない人が多くなっているのでしょう。
一方、ややニッチな例ですが、毎年驚異的な売上を誇る「ほぼ日手帳」は、使い方にルールがあるわけではなく、自分で能動的に手帳を使いこなしていくことで、オリジナルの手帳を作り上げていくというアナログ感に溢れています。
ちなみに「ほぼ日手帳」の値段は、3000円台から5000円台、高いものでは1万円近くする、という手帳としてはやや高価なものですが、それでも売れ続けるのは相応の価値を見出しているファンが多い、ということなのでしょう。

なので、「ネット依存」と「アナログ回帰」の二極化が進行しているのかな、という気がします。
デフレ不況が続いているので、中途半端なモノには金を使いたくない、でも自分が「これぞ」と認めるモノには金を使うのは惜しくない、といった傾向でしょうか。
ただ、本を読む人が少なくなっている、というのは深刻で、この問題が「アナログ回帰」の流れで解消されればよいなと思います。

No.38 77ヶ月前

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