M.O のコメント

今週も配信ありがとうございます。
さて、財務省の福田事務次官のセクハラ問題は、テレビ朝日による記者会見が加わってこじれてきましたね。
小林先生がブログで書かれていた
「早々に謝罪していれば辞任せずに済んだ」
「事務次官はセクハラ、テレビ局はパワハラ」
というご意見には賛成です。
そして、女性記者が「週刊新潮」に駆け込んだことについて
「組織人のまま、それをやるのはプロとは言えない」
というのも理解は出来ます。

ただ、女性記者としては、他に選択肢が考えられなかったかなあ、とも思います。
上司は「報道は難しい」と答え、会社は財務省担当から変えてくれない。
その記者が年齢的に「まだまだ、これから」という方だったら、会社組織を飛び出してまでセクハラ被害を世に訴える、というのは非常に難しいのではないか、と。
伊藤詩織さんのような堂々と行動された方もおられますが、果たして誰もがそこまで強い「個」として行動できるのかどうか。
本来的に、ジャーナリストとしては「個」として動く必要はあるでしょうけど、セクハラで被った精神的ダメージが大きく、孤立無援のように感じてしまった場合、週刊誌に駆け込むという行動は、なかなか責められないように思います。

もちろん、プロ失格です。
あの記者はネタを他のメディアに持ち込む奴だ、と目されるので、今後はスムーズな取材活動が出来なくなる可能性があります。
本人がそのリスクを自覚した上で行動したのであれば、それはもう致し方がないのかな、と。

私がこのように感じる理由があります。
このニュースに関して、テレビで以下のようなコメントを聞いたためです。

谷口真由美氏(弁護士)
「以前より、女性記者に聞き取り調査を行っていて、今回のようなセクハラが多数存在することを知った。しかし、会社や上司に訴えても、『それぐらい、上手いこといなせ(かわせ)』『女の部分を上手く生かしてネタを取れ』と言われるばかりだという。こんなことだから、週刊誌の方に駆け込んだのではないか」
「今回のテレ朝の記者会見は、テレビ関係者だけを相手にしていて、雑誌社などは締め出されていた。テレビ業界の閉鎖的な世界を示している」

住田裕子氏(弁護士・元法務省官僚)
「官僚時代に、記者と一対一で会食する機会は何度もあった。オフレコとして話をすることもあった。ただ、公務の一環なので、仮に会話をこっそり録音されて公表されても仕方がない、という自覚の上で話をしていた」

結局、取材する側とされる側において、旧態依然を良しとする「馴れ合い」というものが存在していて、それを壊したくない「保身」が対応を後手後手に回させた、という印象があります。
だとすれば、この「馴れ合い」を醸成しているのが、「記者クラブ」という存在なのではないでしょうか。
今回の一件、男尊女卑の問題のみで論じるのでは、不充分ではないかと思います。

No.59 80ヶ月前

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