希蝶 のコメント

話はかはりますが、「ダンケルク」も見てきました。
 あんまり長くすると問題があるので、簡単にすると、「ハクソー・リッジ」がゾンビ映画調なら、こちらは、「目に見えぬ恐怖」を、ただ淡々とゑがいた作品で、ある意味凄かったです。
 しかし、主演俳優が誰なのか、戦場のトラウマで苦しんでゐる人なのか、船の中で溺れてゐるフランス人なのか、それとも、空中戦をしてる人たちなのか、絞りきれないといふのが気にかかりました(キャスト名もよく分からない。その人の過去も、背景も)。
 ※ 実を言へば、パンフレットがうりきれてゐたんです。
 これでは、一般の人は、つまらないと投げ出す可能性もあるのかな、と。

 少なくとも、「鉤十字」が一シーンも出てこない第二次大戦映画といふのも、非常に愛づらしいです(これはいい意味でも言ってゐます)
 あへていへば、東京大空襲で逃げ惑ふ民衆の状態とか、坂口安吾でいふなら「白痴」とか、そんな感じでした。
 各キャラクターをもうちょっと目立たせてほしかったな、回想シーンも、とは思ふのですが。かへって、をかしくなるんでせうか。

 いづれにしても、あの子供だけはあはれでなりませんでした。
 ちなみに、「ダンケルクの撤退」といふ故事自体は、昔よんだ高木彬光先生の「人形はなぜ殺される」に出てきたので、かなり前から知ってはゐました。これがあったからこそ、史上最大の作戰(ノルマンディー上陸作戦)があるのだから。
 しかし、かくもパニック状態、恐慌を来してゐたとは思はなんだ、といったところです。

 高木彬光にこだはりますが、金曜のよしりん先生のブログ、「女性たちに囲まれて議論したこと」で、
 「自分の伴侶に不倫をされたとき、(中略)あくまでも自分の家庭内の価値観に留めるべきで、(中略)この世の中には、多様な価値観があるということを分かろうとしない者が多すぎる。価値観は一つ、一つの「正しい」「悪い」の価値基準しかないと思い込んでる者が多すぎるのだ」といふくだりで、
 「能面殺人事件」の主要登場人物の検事の述懐に、
 自分の生涯は犯罪と法律の中に埋もれた三十年近くの期間で「黒か白かに、人間の行動をすべて分類しさろうとする。その中間のの灰色の存在というものは僕には許されなかった。四を二で割れば、必ず二になる。それ以外の解決は、僕には許されていなかったのだ」といふ表現があったのを思ひおこしました。
 「灰色の存在」・・・一見ダークなやうに見えますが、非常に大切だと感じます(だからといって、モリかけ問題を灰色にしてはならないけれども)

 最初に述べたやうな事情があって、今回は出来事投票に間に合ふか否か分かりませんが(誰も期待してゐないでせうが。三回ルールもあるし)、とりあへず頑張ってみます。

 それでは、このまへの「道場」感想と、ライジング感想は、また改めて。
 (個人的なことをもっと述べると、本がもっとよみたいです。笹さんの紹介された本も、「人間の条件」のことなども、決して忘れてはをりません)。

 それと追加しますが、15日は「コロコロアニキ」発売日です。
 前号にひきつづき、のむらしんぼ先生の「コロコロ創刊伝説」に「おぼっちゃまくん」のことが掲載されてゐます。このことも、宣伝しておきます。

(№93を訂正・追加しました)。

No.94 84ヶ月前

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