配信お疲れ様です。台湾論からもう20年近く経つのですね。何度か台湾人の方とお会いする機会があり、この本で得た知識で話すと大層驚かれた記憶があります。

蓮舫氏の父親が本省人の台湾人であったと聞いたら、それこそ日本人なら即座に事情を理解せねばなりますまい。日本が戦争に負けなければ、蓮舫氏の国籍のややこしい問題など微塵も生じなかったでしょうからね。朝鮮の南北分割の遠因も敗戦にありますが、そういう視点で論じる人は皆無です。日本が勝利すれば万事が円満だったとは言えませんが、半端に同化させて投げ出した無責任は問われても仕方ない。いまさら当時の誇りや絆ばかり強調して悦に入っても、一部例外を除き、現実に戦後日本人は旧植民地の人間に対して冷酷だったのではないでしょうか。現日本人である沖縄県民に対する態度ですら、異民族を見るようなまなざしでやっかいもの扱いしてきた。排外主義者たちは、日本の一般大衆に蔓延する、所詮あいつらは「身内」じゃないし、という空気を恃みにして、差別を正当化してきたのだと思います。これは在日や部落問題にも通ずるところでしょう。いじめは傍観者がいるからこそ、成り立つものです。