結局、思想を一人で背負うのは、小林さんには荷が重すぎたのかもしれませんね。プロ漫画家としての矜持を見失う程に、言論沙汰にどっぷりと足を突っ込んだ経緯も、つくる会を立ち上げたあたりまでさかのぼることができると思います。保守思想の停滞を憂うのは結構なことですが、戦後７０年たって未だに現政権を含めた保守陣営がリベラル左翼に包囲されているという現状認識、そしてその支配がようやく揺らぎつつあるからこそ、なりふり構わず先鋭化していくサヨク陣営にどういう手当をしていくかという方法論があるかどうかで、様相は様変わりします。言論も含めてプロの表現活動は商売であり、商売の根幹はリアリズムだという認識があれば、今後自分がやっていくことにどういう戦略性を持たせるかも明確になると思います。