四君子 のコメント

 またまた連投します。
少し小説の話をします。絶版本なので、落ちまで語ります。

 あるエリート会社員の若者の車に、飛び込んできた浮浪者がいました。彼は思わず逃げてしまいましたが、警察につかまりました。そして、その浮浪者が彼の名刺を持っていたので、かなり疑われました。
 実は、彼は大学時代に共産主義にはまっていました。そして、仲間と日曜日に川崎の労働者街へ行っては、子供の家庭教師をしつつ、共産主義の啓蒙もしていました。その教え子の父親が、彼らの話に感化されて、会社をくびになり、娘も病死させ、妻とも別れて身を持ち崩しました。
 その後、二人は偶然道で出くわしました。尾羽うちからした彼の話を聞いた、かつての革命戦士、現エリート会社員は同情してお金を渡しました。しかし、打ち明け話をして愚痴を零すその有様に腹を立て、追い出してしまいました。
 その直後、ドライブに出ようとしたところへ、その元教え子の父親が飛び込んできた、というわけなのです。
 真相を聞かされた、友人の辯護士は、偽の証人をたてることで、何とか、そのエリート会社員を無罪にしました。

 しかし、証拠不十分ということは、必ずしも彼の社会的信用を恢復させたわけではなかったのです。
 まず、会社重役の令嬢との婚約が解消させられました。そして、倒産寸前の子会社に転属させられて、まもなくして、エリート社員は無職になりました。そして、自分をかばってくれた辯護士と、元婚約者の結婚のニュースを聞かされ、元教え子の父親同様、ルンペンに落ちぶれました。
 ある日、その辯護士のものと思しき車を見つけて、思わず、元教え子の父親がしたのと同じことをしました。しかし、それは辯護士の車ではありませんでした。
 当たり屋だったのか、それとも近くに落ちている百円玉を拾おうとしたのか、と浮浪者たちは噂しあいました。

 以上、高木彬光氏の短篇「ある轢死」(角川文庫「私の殺した男」・東京文芸社刊「展覧会の絵」所収)の粗筋ですが、人間、たとえそれが運動という病や熱にうなされてしたことだとしても、自分の言動の責任は自分がとらないといけないのだ、という例としてあげてみました。先日の生放送で思い出した話です。
 言葉には、言霊がある、と感じます。

 話変わって、AbebaTVのことですが、こちらはタイムシフトはできないのかな、と思っていたら、「マイビデオ」というのがあって、6月4日(明日)の夜10時まではOKみたいです。でも、正直、明日は非常に忙しいのです(アニメ試聴とかではなく)。タイムシフトの一週間も、かなりきついと感じます。ひどいときは夕食前に眠って、気がついたら午後10時台、なんて時もあるし。
 インターネット放送は、時間切れになると途中でとまるから。やはり生で見るのが一番みたいです。
 インターネットも録画できるとよろしいのですが(短時間に分割されて保存されるソフトを持っていましたが、役に立たないので、どこかへやってしまいました)。

No.322 90ヶ月前

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