今週も『ライジング』の配信、ありがとうございます。 泉美木蘭先生の「トンデモ見聞録」を拝読して感じたことを書かせていただきます。 確かに「森友問題」を始め、金田法相や稲田防衛相などの体たらくなどはお笑いのネタにすればたいそう笑えるだろうと思います。 実際、鬱積したガス抜きという意味においても、権力側の人間を笑い飛ばしたいと感じている国民は存在するとは思います。 ただ、お笑い芸人の側にそれを出来る人がほとんどいない。 吉本を始めとする上方の笑いは「しゃべくり」を基本とするスタイルが多いので、「考えオチ」のような風刺ネタはあまり人気を博すことがないような気がします。 その吉本芸人がMCを務める全国放送のバラエティ番組が非常に多いので、全体的に上方風の笑いに同化しつつあるのではないか、と危惧しております。 日本のお笑いはレベルが高いとは思うのですが、近年は多様性が失われつつあるのではないかという気がします。 元来、社会風刺のブラックな笑いといえば江戸の方が強く、その白眉が立川流だったろうと思います。 今、家元がご存命であれば、マクラでさんざん安倍政権や官僚どもをこき下ろしてくれるのではないか、と想像してしまいます。 結局、堂々と毒を吐いているのは、立川流出身のビートたけしだけではないかと思うのですが、いかがでしょうかね。 あと、仮に立川流以外の芸人が風刺に挑戦しようとしても、SNS等での炎上を気にしてしまって、なかなか踏み出せないのかもしれません。 博多華丸・大吉の大吉先生は、『ワイドナショー』で 「自分が安倍政権をネタにすることで背負うリスクと、それで得られる笑いの少なさを考えると釣り合いが取れないから、私は普通の漫才をやっている」 と言っていました。 私はこういった方針は、自己を客観視しているという意味も含めて、アリだとは思います。 ただ、そうやって芸人のパフォーマンスを萎縮させてしまうのは、我々視聴者にも責任の一端があるのではないでしょうか。 「不適切な発言」があると、すぐにツイッターなどで叩きまくるような風潮。 自分一人が炎上するならともかく、他の芸人や番組スタッフにも迷惑をかけてしまうと大問題に繋がってしまうという硬直した雰囲気。 松本人志は『ワイドナショー』で、「都合良く発言を切り取って叩いてくる」ネットユーザーに不快感をあらわにしています。 でも、自身の家族や後輩芸人に配慮しているのか、自身の炎上を避けるために、ボケを発するときには無難な言葉を選んでいます。 吉本という大きな組織に属しているというのも、関係あるのかもしれません。 恐らく、これだけ「劇場型」の政局が展開しているのだから、ネタにしたいと思っている芸人は少なからず存在していると思います(というか、思いたい)。 膠着した現状に風穴を開けられる生きの良い芸人が登場すれば面白いのになあ、と感じます。 木蘭先生が書いておられるように、若手芸人が名を売る絶好のチャンスですよね。
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今週も『ライジング』の配信、ありがとうございます。
泉美木蘭先生の「トンデモ見聞録」を拝読して感じたことを書かせていただきます。
確かに「森友問題」を始め、金田法相や稲田防衛相などの体たらくなどはお笑いのネタにすればたいそう笑えるだろうと思います。
実際、鬱積したガス抜きという意味においても、権力側の人間を笑い飛ばしたいと感じている国民は存在するとは思います。
ただ、お笑い芸人の側にそれを出来る人がほとんどいない。
吉本を始めとする上方の笑いは「しゃべくり」を基本とするスタイルが多いので、「考えオチ」のような風刺ネタはあまり人気を博すことがないような気がします。
その吉本芸人がMCを務める全国放送のバラエティ番組が非常に多いので、全体的に上方風の笑いに同化しつつあるのではないか、と危惧しております。
日本のお笑いはレベルが高いとは思うのですが、近年は多様性が失われつつあるのではないかという気がします。
元来、社会風刺のブラックな笑いといえば江戸の方が強く、その白眉が立川流だったろうと思います。
今、家元がご存命であれば、マクラでさんざん安倍政権や官僚どもをこき下ろしてくれるのではないか、と想像してしまいます。
結局、堂々と毒を吐いているのは、立川流出身のビートたけしだけではないかと思うのですが、いかがでしょうかね。
あと、仮に立川流以外の芸人が風刺に挑戦しようとしても、SNS等での炎上を気にしてしまって、なかなか踏み出せないのかもしれません。
博多華丸・大吉の大吉先生は、『ワイドナショー』で
「自分が安倍政権をネタにすることで背負うリスクと、それで得られる笑いの少なさを考えると釣り合いが取れないから、私は普通の漫才をやっている」
と言っていました。
私はこういった方針は、自己を客観視しているという意味も含めて、アリだとは思います。
ただ、そうやって芸人のパフォーマンスを萎縮させてしまうのは、我々視聴者にも責任の一端があるのではないでしょうか。
「不適切な発言」があると、すぐにツイッターなどで叩きまくるような風潮。
自分一人が炎上するならともかく、他の芸人や番組スタッフにも迷惑をかけてしまうと大問題に繋がってしまうという硬直した雰囲気。
松本人志は『ワイドナショー』で、「都合良く発言を切り取って叩いてくる」ネットユーザーに不快感をあらわにしています。
でも、自身の家族や後輩芸人に配慮しているのか、自身の炎上を避けるために、ボケを発するときには無難な言葉を選んでいます。
吉本という大きな組織に属しているというのも、関係あるのかもしれません。
恐らく、これだけ「劇場型」の政局が展開しているのだから、ネタにしたいと思っている芸人は少なからず存在していると思います(というか、思いたい)。
膠着した現状に風穴を開けられる生きの良い芸人が登場すれば面白いのになあ、と感じます。
木蘭先生が書いておられるように、若手芸人が名を売る絶好のチャンスですよね。