リボンの騎士 のコメント

最近言葉について考えてしまう場面がしばしばあるのですが、言葉は性別や年代、育ちや生活環境などあまり関係なく、通じる人には通じますが、そうでない人にはどれだけ費やしてもわからないものですね。もっともそれはお互い様だろうとは思うのですが。
アナウンサーの有賀さつきが離婚記者会見で、離婚理由は?とリポーターに訊かれ、
「言語が違った」
と言ったときは、あまりの意表、そして真実を突いた言葉に、思わず吹いてしまった記憶があります(笑)。

さて、この度の今村元大臣。東大法学部出身らしいですが、自分の言動のどこが問題なのか、たぶんわかる日は一生来ないでしょうね。学歴と知性はまったくの別ものなんだなってつくづく思います。
今村氏はその都度詫びもしていたそうですが、安倍首相とか党に迷惑かけたからという発想しかないでしょうから、詫びの相手は彼らだったというだけだと思います。なぜ辞任に至ったかということも、自身の認識はその程度でしょう。

二階氏による今村擁護の発言についてもただただ呆れ果てます。あれが「言葉の誤解」だの「ちょっと間違えただけ」だのって、それが通用すると疑わないのはいったいどんな了見なんだろう思ってしまうわけですが、それがなぜかと考えてみれば、永田町には永田町の中でしか通じない、永田町言語というのがあるからではなかと思います。永田町の外ではそれを「軽薄」としか言わないわけですけれども。

少し前に読んだインタビュー記事ですが、報道カメラマンの宮嶋茂樹が、
「総理大臣とご飯へ行ったことを自慢している有名ジャーナリストがいますけど、ダメですよね。ジャーナリストは政治家から疎んじられ、ビックネームの芸能人から嫌われ、悪党からも恐られてナンボです。飼いならされるのは嫌ですね」
と言っているのを読んで、その通りだなと思ったばかりでしたので、今村氏をブチ切れさせたジャーナリストはたいしたものだと思って見ていました。
逆に言うと、あんなわかりやすい挑発に簡単に乗ってしまう70年以上生きてきた人間の器の小ささもさることながら、さらにはそれが我が国の大臣だなんて、国民のひとりとして情けなさすぎて、何の冗談なんだろうとも思うわけですが。

辞任のきっかけとなった直近の失言は、自らも所属する自民党二階派が都内で開いたパーティでの「荒海を航(い)く! 強いニッポンを創ろう」という演題で講演したときだったそうですが、話の締めは世界情勢の悪化などを荒海に例えて、
「船はどんなに風が吹いても、波があっても、まっすぐ進んで、波に舳先を向ければ沈むことは絶対にありません。そのために推進力が必要なんです。推進力がないと舵は効きません。推進力は国力なわけですから、いろんな意味でもですねぇ、子どもたちを元気に育てて、力強いニッポンの国を共に作っていこうではありませんか」
だったそうです。
いったいどの口で経済を語り、少子化を語り、教育を語るのかと、思わず拳を握り、力が入ってしまいそうになりますが、軽薄大臣先生にあまりにふさわしいと言えばふさわしい、中身のないしらじらしく虚しい言葉が並んでいるとも言えるんじゃないかと思います。

No.54 92ヶ月前

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