アッキード事件は試金石でした。国民は首相の身内に犯罪疑惑がかかっても、さらりと受け流して許してしまう。来月にはもう話題の端にも上がらないかもしれない。そうなれば、いよいよ自民党政権は本性を剥きだしにし、今まで出来なかった「国民生活を直接かつ広範に破壊する」法案を通してくることでしょう。

例えば、北朝鮮の脅威を今更煽っているのもその一環です。米国ではトランプの支持がいまひとつ振るわない。ここでいま、日本と「交渉」し自国に圧倒的に有利な貿易協定を結べば、彼の支持率はうなぎ上りです。バーターに「日米同盟の強化」を掲げれば、臆病な日本人は渋々受け入れるしかない。この貿易協定に今までやりたくてもやれなかった規制緩和を盛り沢山にすれば、あとは自動的に日本の「構造改革」が出来る。条約には拘束力があるから、安倍内閣が退いた後もずっと有効です。この先１０年以上の日本の針路がこれで決まるでしょう。抵抗勢力も黙るしかない。彼らの多くは左翼ですし、改憲による自主防衛でイニシアチブ奪還という鬼手（というより王道）が出来ない。何を言おうが非現実的と侮られ、ますます国民の支持を失い、代わりに自民党王国は盤石となる。55年体制ならぬ2020年体制とでも呼べばいいでしょうか。

国民が無権利状態に置かれれば置かれるほど、搾取する側の権力者は肥え太る。我が国の内外で、です。しかし、それは「おかしいと思ったことにおかしいと言う」権利を自ずから放棄したことにより齎される、当然の結果なのです。