JUKE のコメント

”「生前退位」論の到達点”である高森氏の新著。
拝読させて頂いた。決定版に間違いないように思う。

これほどまで一切の余剰を排除し、直截な文章で、議論の核心へズバズバと切り込んだ論考があるだろうか。
野球に例えれば、1回表の第一球から最後のバッターを打ち取るまで、150Kmのストレートをひたすら投げ込む感じ。

氏の功績は、生前退位の単なる制度論からではなく、象徴天皇像の”能動的”構築に命をささげてこられた陛下の心情をそのまま汲み取っていることであろうと思う。
それが、すなわち、他の学者連中の「摂政論」「退位反対論」「特別措置法論」すべてへの論破になっている。
次なる功績は、やはり退位だけでなく、女性宮家創設まで含んだ、皇室典範の具体的改正案を提出したことであろうと思う。
これで他の学者が、高森氏を批判するには、対抗的な提案を持ってこざるを得なくなった。
果たして皇室典範の”ど真中”からの改正を唱える高森氏に、対抗できる論者が世の中にいるか。

一方で、高森先生らしいユーモアを見た。
「歴史的に四世代に1回の割合で嫡系継承が困難な場合が生じる」という竹田恒泰氏の指摘を引用してリスペクト(?)を示しつつ、そのすぐ後段で(旧宮家系の皇籍復帰に関連して)「竹田研究会」幹事長の逮捕について触れて、氏自体の皇籍復帰をしっかりと封じる落差のあるカーブを投げるあたり、さすがだなと(笑)

読むのに1時間と掛からない分量ではあるが、内容はとてつもなく濃くて、深い。

No.238 97ヶ月前

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