笹幸恵さんの別姓使用に関するブログを読んで、僕もいろいろ考えてみました。 女性が結婚後も旧姓を使用する事に関してですが、最終的には本人の意思を尊重すべきではないでしょうか。裁判所や学校が新姓を名乗る事を強制する筋合いなんて、ないと思います。 判決に「戸籍上の氏名の使用を求める事に、合理性・必要性がある」とありますが、合理性を言うならば、結婚後も旧姓で通した方がよっぽど合理的です。本人が「改姓した」と周知する手間が省け、他の教師や生徒・保護者に「旧姓と新姓、どちらで呼べばいいのか?」と気を煩わす事もなくなるからです。 それに必要性があるなんて言い出したら、夫婦ともに同じ職場で働いている場合はどうなるのでしょうか。苗字が同じだから呼ぶ方も戸惑うし、呼ばれた方も夫と妻どちらが呼ばれたのか困ってしまう破目になります。夫婦ともに同じ職場の場合、少なくとも職場限定の「夫婦別姓」の方が、合理性があります。 ちなみに僕が一昔前に勤務していた職場では、結婚後も旧姓で通していた人もいたし、離婚後も元夫の苗字を名乗っていた人もいました。僕はその事に全く違和感はなかったし、職場の人で「結婚後の姓を名乗れ」と言っていた人も皆無でした。今の職場でも夫婦で同じ部署に勤務している人もいますが、奥様の方はみな普通に旧姓で呼んでいます。仕事上の支障は一切ありません。 そもそも裁判所や学校は、なぜ原告の女性教師に「戸籍上の氏名」を名乗らせる事に拘るのでしょう。その根拠を考えたとき、笹さんが指摘していたように、夫婦が同姓になる事で家族の一体感が保たれる等といった「無意識の女性差別」が影響しているんじゃないか、と考えるのが妥当だと思います。それにこういう裁判に、女性裁判官が一人もいなかったという事実も、それを裏付けるものと思われます。 あと原告の「実績と名前を切り離したくない」という話ですが、「自分が旧姓時代に重ねてきた実績や、生徒や保護者に旧姓で定着しているという事情を一切考慮せず、結婚したから現在の戸籍上の名を名乗れという、一方的かつ杓子定規な対応はやめてくれ」という意味だと僕はとらえています。 そして笹さんが一番主張したいのは、女性が結婚後も旧姓を名乗りたいという「ささやかな願い」すら叶えようとしない社会に、女性が今まで以上に活躍できる社会の制度設計や、環境づくりなんて出来る訳がないという事ではないでしょうか。
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笹幸恵さんの別姓使用に関するブログを読んで、僕もいろいろ考えてみました。
女性が結婚後も旧姓を使用する事に関してですが、最終的には本人の意思を尊重すべきではないでしょうか。裁判所や学校が新姓を名乗る事を強制する筋合いなんて、ないと思います。
判決に「戸籍上の氏名の使用を求める事に、合理性・必要性がある」とありますが、合理性を言うならば、結婚後も旧姓で通した方がよっぽど合理的です。本人が「改姓した」と周知する手間が省け、他の教師や生徒・保護者に「旧姓と新姓、どちらで呼べばいいのか?」と気を煩わす事もなくなるからです。
それに必要性があるなんて言い出したら、夫婦ともに同じ職場で働いている場合はどうなるのでしょうか。苗字が同じだから呼ぶ方も戸惑うし、呼ばれた方も夫と妻どちらが呼ばれたのか困ってしまう破目になります。夫婦ともに同じ職場の場合、少なくとも職場限定の「夫婦別姓」の方が、合理性があります。
ちなみに僕が一昔前に勤務していた職場では、結婚後も旧姓で通していた人もいたし、離婚後も元夫の苗字を名乗っていた人もいました。僕はその事に全く違和感はなかったし、職場の人で「結婚後の姓を名乗れ」と言っていた人も皆無でした。今の職場でも夫婦で同じ部署に勤務している人もいますが、奥様の方はみな普通に旧姓で呼んでいます。仕事上の支障は一切ありません。
そもそも裁判所や学校は、なぜ原告の女性教師に「戸籍上の氏名」を名乗らせる事に拘るのでしょう。その根拠を考えたとき、笹さんが指摘していたように、夫婦が同姓になる事で家族の一体感が保たれる等といった「無意識の女性差別」が影響しているんじゃないか、と考えるのが妥当だと思います。それにこういう裁判に、女性裁判官が一人もいなかったという事実も、それを裏付けるものと思われます。
あと原告の「実績と名前を切り離したくない」という話ですが、「自分が旧姓時代に重ねてきた実績や、生徒や保護者に旧姓で定着しているという事情を一切考慮せず、結婚したから現在の戸籍上の名を名乗れという、一方的かつ杓子定規な対応はやめてくれ」という意味だと僕はとらえています。
そして笹さんが一番主張したいのは、女性が結婚後も旧姓を名乗りたいという「ささやかな願い」すら叶えようとしない社会に、女性が今まで以上に活躍できる社会の制度設計や、環境づくりなんて出来る訳がないという事ではないでしょうか。