がんT のコメント

いささか感想を書く時機を逸した感はありますが、『ゴーマニズム戦歴』は大変にありがたい本です。
これまでも試みられてきた、よしりん先生の思想の流れを俯瞰(読者がこのような表現を使うことはややおこがましいとは思いますが)することで、現代の問題点も見えてくるという趣向の最新版だけでなく、「わしに歴史あり」を実感できます。
個人的には年表で、『ゴーマニズム宣言』の歴史と世の中のできごとを見比べていくという構成が実にありがたいところです。『ゴー宣』と世間の対立(そう見えました)の歴史に、自分の歴史(大層ですが)をも重ね合わせられます。
「あの時あのことについてこう思った」「さらに『ゴー宣』でこう思った」「その時自分にはこんなことがあった」「この頃同じ愛読者の友人とこんなことを話した」等々。こういった感慨を持てるのではないでしょうか。私自身は高校から大学時代にかけてが一番です。いい友人がいました。
社会人になってルーティンワークをこなす時期になると、年表さらには本編に目を通して「この頃の自分は……」という感情が稀薄になっているような気がします。これは私だけの例外的意見ではないつもりです。
ひるがえって、よしりん先生には「ルーティンワーク」などという言葉は無縁だと痛感します。「悪い意味での、思想が固定化していない」ということになりましょうか。
伝えることは難しい。先生のような説得力と人間的魅力があってこそです。それもまた味わいです。

余談ですが、書店で『ゴーマニズム戦歴』のすぐ横に「『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命」が並んでおり、帯に「安全な場所から人を非難するのはたやすいことだ」と書かれていたのは、あまりにも心憎い配置の妙でした。これは『民主主義という病い』への導入効果並びに「寄り道の読書」への誘いのように感じられました。2冊とも買いました。

No.42 100ヶ月前

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