こいら のコメント

東京にいる間にアイドルの冨田真由さんの傷害事件が起こり、安易にアイドルなんかの有名人と普通の素人がネットで繋がれる社会の闇を感じました。おそらく犯人は普通の人ときちんとしたコミュニケーションを取る能力がなく、自分の妄想の中にある架空の恋人像を勝手にアイドルに投影して、それが現実にならないことに憤っての犯行だと思えます。
そもそもアイドルやタレントという存在は庶民からすると雲の上の存在だと思います。しかしそれではあまりにも味気ないのでアイドルやタレントがファンサービスのために庶民の側に降りる手段として、ブログやツイッターを使ってるだけの話なのです。
アイドルがファンに対して「愛してる」とか言うのはあくまでも恋愛対象としてファンを見てるわけではなく、どちらかと言えば同志愛に近いものだと思うのです。アイドルが庶民の日常生活に踏み込まないのは、ファンもアイドルの日常に踏み込まないという暗黙の了解のもとに成立する約束みたいなものです。
だからアイドルがツイッターやインスタグラムで見せてる日常って、公に出せる範囲のことなのです。
しかし、思い上がったバカ大衆は、ちょっとアイドルの私生活の一部を知ったからと言って、アイドルの実存の全てを我が物にしたと思い上がってしまうのです。ネット上のコミュニケーションは表面的なのに、その本質は獣のようなドロドロとした部分を安易に発信できちゃうので、例えば目に見えてる普通の赤の他人の第三者のお嬢さんには言わないようなことをツイッターなんかでアイドルに投げつけてしまうのです。
要するに、自分の歪んだ性慾のはけ口を一方的にアイドルに求めてしまい、それが叶わないと逆ギレして恨んでしまうのです。
例えばこれがアイドルでない普通のお嬢さんだったら、一方的に思いを寄せても向こうがこちらを思ってなければ恋愛は成立しません。そこからどうやって相手の気を惹くとか、好かれるようにするとか色々考えて悩むと思うのです。そこで等身大の自分と向き合い、実存の苦しみを味わい、悩みながら青年は大人になるのです。
古今東西の恋愛を扱った文学には、若いということが決して恵まれたことではなく、苦悩と難しさに満ちた季節であることが描写されているのです。
ところが今のネット社会では、苦悩もなく安易に自分の感覚や感情をネットに書き込んで全世界発信できてしまっています。内省も思慮もない平板的な人間が、恋愛感情さえも排泄か何かと同じ感覚で捉えているのです。だから好きなアイドルが自分の排泄の手助けをしてくれなかったから不快になって殺しちゃえ、って幼児的な感覚で簡単に一線を超えちゃうんだと思うのです。
ネットの発達で、感情の排泄がやりやすくなり、深く沈思黙考することが時代遅れになったことは、大問題なような気がします。

No.73 102ヶ月前

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