こいら のコメント

『民主主義という病い』拝読致しました。
大学時代にヨーロッパの政治思想史を勉強したのですが、徴兵制と民主主義がワンセットであることは、フランスをはじめとするヨーロッパでは当たり前のことだと学んだ記憶があります。そして公共心がない大衆が民主主義を金科玉条の手段として盲信することは衆愚主義を生み、大衆による反知性主義からなる恐怖政治を生むのは洋の東西を問わないのでしょう。
民主主義は奴隷の平和であり、危険を冒しても自分の責任において自由を追求する覚悟の方がこれからの私たちに必要であり、そのためには自分の領分を弁え公的な領域での営為をなし、時には命をかける覚悟も必要なのかな、と思ってます。
戦後の学生運動から今のシールズ、ネトウヨに到るまで、生産の営為の現場から逃げる目的で奴隷の民主主義の運動ごっこに走る若者とそれを甘やかす馬鹿な大人は、この本が提示してるテーマを直視できないでしょう。
日本特有の寄り合い民主主義は、周囲を海に囲まれていたうえに侵略する国もなかった江戸時代までのある意味、恵まれすぎた条件の下でしか成り立たなかったやり方でもあったのかもしれません。武士が日本型の民主主義を定義して、それが明治維新の頃までは生きていたのかもしれません。しかし、安易な西欧化と個人主義の台頭で日本と西欧の政治思想の相違を咀嚼できないまま大東亜戦争で欧米とぶつかり、敗戦後安易にアメリカの価値観を無批判に受け入れてしまったのです。アメリカが提示する思想は全て新しいという考えは現在のグローバル礼賛主義に相通じています。
日本の政治の理想としては、様々な知性と公共心を持った少数の賢者が、象徴としての天皇陛下を補弼しながら悠々と進めていくやり方を私は提案します。少なくとも今の愚民主主義では、どの党が政権を取っても一流の国家になれないと思うのですが。
それから公のことも大事ですが、自分の暮らしをきちんとやるという範囲で私的なことも疎かにしないのも、バランス感覚を失わないために大事なんだな、と思います。政治思想のことを語りつつ美味しいフレンチの話をするのも大事だと思いますね。

No.150 103ヶ月前

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