吉田尚記の「アナウンサーなのに。」

人と話せなくて苦しんでいる人を救いたい

2020/08/22 00:00 投稿

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  • 吉田尚記
  • 会話の教科書
  • よっぴー
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 できたよ!
 本!
 です!

 タイトルが長い! ハッシュタグは #会話の教科書 で。

 本を書いていると思うのですが、最終的に伝わる事って、「言ってないこと」なんですよね。
 逆に、短い文章だと、「言ったこと」だけ伝わる。

 わかります? この感じ。
 だから、本のメッセージをお伝えしようと思ってこの文章を書くとなると、逆に、本に書いてないことを書くことになります。

 私が、この本で達成したかったことは、「人と話せなくて苦しんでいる人を救いたい」です。

 本には、救いたい、なんて一言も書いてない。でも、こういうメッセージ。

 うん、やっぱり紹介記事じゃ無くて自分の文章だしな。
 ここは、本では書いていないことを、書こう。

 正直、自分でもコミュニケーションに何でこんなに欲があるんだろう、というぐらい、今でも毎日、ものすごい数の本番を詰め込んでいます。それはきっと、子どもの頃にゲームを禁じられて育った家庭の子が、大人になってからかえってゲームに溺れるみたいに。コミュニケーションがあまりに下手くそだったから、ちょっとできるようになった、と少なくとも自分では思えるようになったからでしょう。多分、初めからコミュニケーションうまかった人は、コミュニケーションがとれる! ってことに、こんなに報酬を感じないんだと思うんですよね。だから私は、依頼されて本番がある、今がめちゃくちゃ楽しいです。

 でも、もう本当に、コミュニケーションがむちゃくちゃ下手くそだった。
 自分が傷つくのが怖くてコミュニケーションがとれなかったり、会話を自分のプレゼンかと誤解して自慢話になっちゃったり、喜ばせようとしていたとしても見当違いで全力でスベって妙な気持ちにさせたり… あああ、黒歴史ばかり思い出される! この辺は、水谷綠さんにマンガにしていただいた『コミュ障は治らなくても大丈夫』に、バリバリ書いてありますが。あ、それで思い出した。そこの後書きに書いてくれた話。水谷さんが同期の小川に取材してくれたときに、「吉田は変わらなかったんだと思います」と言われたエピソードがあるのですが、あー、と。

 たしかに。
 私、大元とまったく気持ちは変わってないです。
 面白いと思われたいとか、ウケたいとか、そういう気持ち、今でもむちゃくちゃあるけど、それを越えて、だれかとつながりたい。そして、つながりたいけれど、つながれない、というのは、とてつもなく苦しい。その気持ちだけは、味わい尽くした気がする。

 めちゃくちゃ大上段に構えたことを言ってしまうと、哲学者の永井均先生が、「苦しんでいる人を救う、というのは、自分が同じ苦しみを味わったときだけ、その人が、救われたと気づかない形で、救うことが出来る」みたいな(カッコイイ!)ことをおっしゃっていて、私は、大変な親御さんの下に生まれてしまった苦しみを味わっている人を救うことは出来ないけど、

 相手を傷つけるのが怖かったり、
 スベるのが怖かったり
 つまらないと思われることが怖くて
 コミュニケーションが取れない

 という人のことだけは、救えるのかもしれないな、と考えながら、この本を作ってたんだ、と、作り終わって改めて思います。今回、それを思い出させてくれたのは、「吉田尚記コミュニケーション研究会」に参加してくれた、メンバーたち。ホント、みんな自分と同じなんだなぁ、と思うこと、しきりでした。

 …すごい、本に書いてあることほとんど何も書いてない!

 本の良いところは、無理矢理決まった時間に読んでもらわなくてもいいところ。ラジオと違うね!
 まぁ、読んで下さい!
 特に最後の4章は、うまく書けたと思うの。

 そっと置いておいて、ふと、手に取ってもらったら、つながりたいけどつながれなかった自分としては、もう、最高にうれしいです。

 最後に、自分で喋っている動画も。

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