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山田玲司のヤングサンデー 第314号 2020/11/2

「鬼滅の刃」だった「The Boys」

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今週のヤンサンは話題の海外ドラマ「The Boys」の分析。

面白かったのは、番組の後半のおっくんの「懊悩」でした。



アメリカの掲げる理想がどれだけ「ぶっ壊れているか」を「スーパーヒーローの腐敗」という視点で描いたこのドラマ。


役者や脚本家を交えてのトーク番組も含めて、おっくんがこのドラマにドハマリしているのは、番組を観てくれた人には伝わったと思います。


スピンオフでの出演者たちは、とにかく明るくて感じが良い。

彼らはユーモアを交えながらも政治について自分の考えをはっきり語り、相手の話も尊重する。


そんな彼らについて「最高だけどついていけない」みたいな気持ちになると、おっくんは言うのだ。


「いやー現実ってマジで最悪だよね」


と言って笑顔で語り合う彼らに対して「何でそんなに明るく喋っていられんだよ!」とか思ったのかもしれない。


本当の所はわからないけど、おっくんならそう感じた気がする。


それくらい、このドラマで描かれている「アメリカの現実」は深刻で恐ろしい。

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【夢幻列車】


一方で僕はディスカバリーレイジチャンネルで「鬼滅の刃」劇場版の解説に挑んだ。


一見社会とは無関係な作品に見えるけど、この作品は実に「日本社会の現実」に強烈に切り込んでいる作品だった。


(以下ネタバレ含む)


この作品で扱うエピソードは、主人公達が乗り込んだ列車そのものが「鬼」だった、という話だ。


鬼は乗客を「自分にとって都合のいい夢」を見せて眠らせたまま食べようとする。


この「自分にとって都合のいい夢」っていうのが強烈な「今の」社会風刺になっている。


誰でも「信じ続けたいもの」はある。


「アメリカは偉大な国」も「日本はアジアで1番」もそうだし。

「見た目で人生は決まる」「都会は偉い」とか「気候変動はデマだ」とか「コロナはただの風邪」とかいう「夢」まで・・・

誰もが何らかの「都合のいい夢」にすがって生きている。


僕らは「夢幻列車」で眠らされ、鬼に食われようとしているのに「都合のいい夢」から覚められない。


鬼滅の刃の主人公「炭治郎」は、そんな夢から覚めるために「夢の中にいる自分」を何度も殺すのだ。


「目覚めなければみんな死んでしまう」という強烈なメッセージがそこにある。


(詳しくはディスカバリーレイジチャンネルtake 72で)




【The Boysという刃】


「The Boys」では、作品そのものが「目覚めろ」と言っている。