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山田玲司のヤングサンデー 第234号 2019/4/15

カイオーガの捕まえ方

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もしも「100万円あげるから黙っててもらえないか?」と言われたらどうだろう。


それによって誰かが病気になる。

それによって地元の土地が汚染される。

それによって将来の世代が不幸になる。


全部わかってるとして。


目の前の100万円に勝てるか?


「たかが100万円では動かない人」もいるだろう。

では「1000万では?」「1億では?」


これに勝てる人は「私は買収されない」と決めて生きている人だと思う。

でも、そんな誇り高き人でも、その時もしお金がなくて家族が入院したら?


「未来の子供達の幸せ」のために、目の前の家族を見殺しにできるだろうか?


僕が環境問題について考えたり、調べたり、話し合ったりし始めて随分経つ。

本格的に取材して発信もしてきた。


そこでいつもぶつかるのが「これ」だった。


最悪な状況が続いて気候変動も、原発も、化学物質汚染も、全部「これ」が邪魔をしている。



誰かがもらう100万円のせいで、誰かが病気で死ぬ。

でもそれは「見えない」(見ない)(隠されている)


見えないからやってしまう。


そして、それは僕も同じなのだ。


気候変動の影響で貧しい国の人々が家や田畑や健康を失ってて、調べていくとその原因は「深夜のコンビニで牛丼を買う自分」だって事に気が付く。

気づいても、それをやめない。

深夜営業が温室効果ガスを増加させ、牛の大量消費は大量の水と土地にダメージを与えてメタンガスを出す。


全部わかってるのにコンビニを利用する自分がいる。


つまり僕も「100万円もらっている」ようなものなのだ。

そんな事を言うと必ず。


「いやいや山田さん、考えすぎですよ」

「それが人間の業ってもんです」

なんて事を散々言われる。なので僕は語るのをやめた。


とはいえ。

そう言う人の気持ちもわかる。

僕の指摘は、同じような立場の相手も同時に責めているからだ。

みんな深夜のコンビニには行くし、肉も食べる。

しかも必死で働いて稼いだお金だし、働いてるから買い物が深夜になったりもする。


そんな人に「あなたも気候変動を起こしているんです」なんて言ってるわけだから困ったもんだ。



気候変動は本当に深刻で、ブレーキをかけられないまま地獄が始まってる。

「山火事」「洪水」「スーパー台風」「ゲリラ豪雨」「大飢饉」「大量絶滅」「環境難民」

気候変動が引き金になった戦争も多発している。



そんなリアルタイムの情報をど真ん中で見ている人が、今回ゲストに来てくれたエモリンこと江守正多博士だ。


エモリンは国内最高の気候変動研究学者で、国際会議もずっと出てる凄い人だ。


そしてエモリンは「ポケモンマスター」だ。

打ち合わせに来る間も「ポケモンGO」という、スマホゲームでポケモンを集めてる。


誰よりも「地球の危機」と「絶望的な社会」を知っているのに彼は明るい。


彼は自分のできる事をしっかりやって、ポケモンもやる。

気候変動の解決方法を模索しながら、ポケモンもやる。


最悪なニュースが入っても、ポケモンはやる。

それがエモリンなのだ。



ところで。

ポケモンには映画に出てくる「最強のヤツ」ってのがいる。


「ミュウツー」とか「カイオーガ」みたいなボスキャラだ。


そんな凄いやつも、ポケモンGOで捕まえる事が出来るのか?

僕はそれが知りたかった。


今さらだけど、ポケモンGOは「AR」ゲームで、世界各地に現れるポケモンがいて、アプリを使うと「そのポケモン」が見えて捕まえられる、というゲームだ。


なんとなく「ピジョン」や「ゼニガメ」がその辺で捕まえられるのはわかるけど、カイオーガがいるのか?

どこに?

普通に捕まえられるのか?


やってる人にとっては常識だと思うけど、僕はポケモンGOをやらないので、打ち合わせの時にエモリンに聞いてみた。



「カイオーガは捕まえられますよ」とエモリンは言った。

カイオーガの出現場所はネットの何かで調べられるので、その場所に行って捕まえるらしいのだ。