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山田玲司のヤングサンデー 第211号 2018/11/5

「音程」って何だ?

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またしても「自分」に呆れている。


何かと言うと、バンドの話。

僕は「ヤンサンフェス」にバンドで出るので、その練習に行ってきたのだ。


ようやく夢が叶って、おっくんと一緒に「アリス」を歌うのだ。

僕にとって「アリス」ほど自分の「リアル中2時代」を象徴するバンドはない。


ネタ的な意味での中2ではなく、自分が本物の「中2」だった頃、ハマっていたのがこの「アリス」のカバーだった。


3人のおっさんが低い声で「ダンディ」に愛や苦しみや「優しさ」なんかをを歌うバンドが「アリス」だ。


ダンディには程遠い埼玉の田舎の中学生が「それ」に憧れる意味がわからないのだけど、とにかく当時(80年代初期)の中学生はみんなアリスにやられていた。



今思えばかなり妙な世界観だし、サウンドもベタなアリスだけど、とにかく「おっさん」がかっこつけているのがいい。


アリスは「Beatlesフォロワー」なので、それぞれのボーカルに見せ場があって、やたらとハモる。

そんなわけで、当時の僕は覚えたてのギターで友人と毎週のように「アリス」を歌っていた。



そんな思い出も「MTVの襲来」やら、ブルーハーツの登場やらで、遥か遠くに行ってしまっていた。



この話は何度か書いたけど、ここで改めて書きたい。



震災前の2010年。

取材で当時の毛皮のマリーズの志磨遼平に会い、彼に「おっくん」という人間を紹介された。


おっくん本人に会う前に、志磨遼平のラジオになぜか出ていた「おっくん」の声を聴いた。

単なる故郷の友人が堂々とラジオに出ているのも面白いけど、この時おっくんは志磨遼平に向かって「マリーズは解散せえ!」「これを聴け!」と言った。



何を志磨遼平に聴かせたのか?


それが「アリス」だった。



その瞬間僕は「こいつ面白い!!!」と思って、おっくんと会う事にしたのだ。


要するに「アリス」が俺たちを繋いで「ヤンサン誕生」になったのだ。



そして、現れた「おっくん」は、ご存知の通り、B’zだの少年チャンピオンだのが大好きな「超絶ベタ男」であり、同時に完全に時代から外れた「明治時代の蘭学者」みたいな男だった。


そんなわけで、彼と一緒に「ヤングサンデー」を始めたのだけど、どうせならこいつといつか「アリスを演奏したい」と、ずっと思ってきたのだ。



そんなこんなで、ゴルパン音楽部のみんなに協力してもらって「アリス」をやることになった。


しかし、せっかくのアリスなのに、連日のハードスケジュールで体はボロボロ、おっくんも風邪をひいている。


その上、更にアレンジを独創的にしたものだから大変な事になっていた。


それでも僕はこの状況が嬉しくて、スマホで演奏を録画していた。


帰ってからその動画を観て愕然とした。