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山田玲司のヤングサンデー 第173号 2018/2/12

出てこい「混沌」

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先週の放送で、僕の隣に座っていらしたのは漫画家の「田中圭一さん」だった。


何が面白いかって、この人は「ものすごく真面目でいい人そう」に見えて、描いてる漫画は「メチャメチャ」だって事だ。


それが最近「うつヌケ」という、自分の鬱を克服した体験を中心に様々な人の「鬱体験とその克服」について描いたものだから、世間的に「いい人」というレッテルを貼られてしまっているのだ。


田中さんの漫画の何が「メチャメチャ」かと言えば、例えば漫画に出てくる「美少女キャラ」の体が「女性器そのもの」に描かれてたりするくらいの「大暴れ」なのだ。


しかもそれを「漫画の神様」のタッチとキャラを使ってやるものだから読んでる方はハラハラしつつ、その「悪ふざけの限界をさまよう漫画家」が面白くてたまらない。


田中さんは「大御所タレントの前で本人のモノマネを最高に下品にやってのける芸人さん」みたいな人でもあるのだ。


なので「おめえふざけんなよ!」と言ってもらえないとやり難い芸風でもあるし、みんなが「良い人」をやって気取ってる現場に「素っ裸で乱入するような事」が何よりも好きな人だと思う。


いつもの田中さんは「真面目な努力家」で「常識人」として生きている。

だからこそ「ふざけたい!」という気持ちを漫画にぶつけてきた人なのだと思う。


ところが、今回の「うつヌケ」のヒットや「大学の先生」みたいな事をやっていると、真面目な人が真面目をやらされているわけで、これはこれで大変だろう。





「行き過ぎた管理教育」みたいなのは今もあるけれど、田中さんの世代(僕もだけど)は団塊世代が学生運動で暴れた反動もあって、特に厳しかった。


「スカートは膝下何センチ」とか「学校に時計を持ってくるな」とか「男女交際禁止」とか、アホみたいな校則に縛られていた僕らは、エネルギーの発露をサブカルに求めた。


漫画の中で「真面目」をやっているキャラがいると、その「聖なる存在」を汚したくて仕方なくなる、そんな気分を抑えられなかった。


それが「巨人の星」に代表されるスポ根漫画のパロディーや「キャプテン翼」のBL展開などに繋がっていくのだ。



田中さんと話していると、あの頃の「何か真面目なやつをからかってやろうぜ」と言っていた漫研の部室の空気を思い出す。



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この話は、解剖学者の養老孟司さんが言っていた「寝ている時に見る夢がデタラメな理由」にも繋がる。