「お前に言ってるんだよ!」〜舞台「三文オペラ」の夜〜
今週は諸事情により配信が3日遅れてすみませんでした。
今回は色々考えさせられた「あの夜」の話です。
去年の秋だった。
僕らは「ヤンサン3周年記念イベント」のために阿佐ヶ谷にいた。
スペシャルゲストはドレスコーズの志磨遼平だ。
久しぶりに会った遼平に「最近どんな感じなの?」と聞くと「舞台の音楽をやるんすよ」と言う。
「面白いね、何ていう舞台なの?」と聞くと「三文オペラなんすよ」と彼は答えた。
イベントでは「初めてのまどマギ」だの「おっくんとは何者か?」だののコーナーで盛り上がり、「舞台頑張れよ」と言って遼平と別れた。
舞台制作の途中経過を聞く度に、彼は「舞台の面白さ」に取り憑かれている、と言っていた。
「楽しくてしかたない」らしい。
自分のイメージを中心に世界を作ってきた彼が、初めて「共同制作」の一翼になれた喜びを感じているのかもな・・・なんて思った。
「俺を見ろ!」もいいけど。「こいつを見てくれ!」ってのもいいものだ。
みんなで作る「何か」を魅力的にするために「自分を抑えて頑張る」なんてのも悪くない。
そんなこんなで、舞台「三文オペラ」の公演が始まったので、観せてもらう事にした。
恥ずかしながら、僕はこの超有名な戯曲「三文オペラ」をよく知らない。
上演前に「演劇畑にいたおっくん」に「どんな話なの?」と聞くと「パンクなんすよね」「それまでの演劇を完全にぶっ壊す・・っていうか」とか言う。
「パンクで、ロンドンで・・」
「ピストルズ?god save the queenか?」
「あ、まさにそれっす。そういう話っすよ」
「みんな権威の奴隷だ、みたいな?」
「・・・間違ってはいないと思います」
などと語りながら僕は舞台「三文オペラ」を観た。
三文オペラのストーリーは、検索すれば簡単に出てくるのだけれど、今週の土曜の最終公演を観に行くので原作のストーリーも知りたくない、という方は、この先は「観劇後」に読んで下さい。
舞台は様々な「試み」が仕掛けられていて、音楽を束ねている志磨遼平の手腕も見事だった。
マリーズがかつて仕掛けていた「戦前、戦後の昭和デカダンス」「20年代のパリ」「夜の昭和歌謡」などのモチーフがオリジナルの楽曲にうまく溶け込んでいる。
最近盛り上がっていた「クストリッツァ楽団」の雰囲気もある。
楽団のミュージシャンがまた素晴らしい。
そんな音楽が生み出す「雰囲気」の中で、実力派の役者陣が「自分の役割」を見事に演じていく。
色々感じながら、気がつくと僕はこの舞台に「作者」を見ていた。
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