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山田玲司のヤングサンデー 第155号 2017/10/2

こんな時代に効く映画とは?

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ダークナイトでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督最新作「ダンケルク」

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敵を倒すのではなく「仲間を逃がす」という戦争映画は新鮮で、まるでVRのような「1兵士の目線」に特化した演出も素晴らしかった。


CGを使わないで本物の戦闘機を使った撮影が見せる映像は、戦闘機以外の光る海や空の美しさを引き立てていて、これもまた素晴らしい。


「こんな美しい空の下で、自分たちが作った地獄に苦しんでいる人類」という存在が本当に哀れで小さく見えてくる。




ダンケルクは「戦争」を始める前に、「戦争という選択肢はこういう事態に向かうことでもある」という「現実」を冷静な視点で描いている。


ダンケルクでは会話がほとんど無い。


いざ戦闘が始まれば議論なんかできないのが「戦争」なのだ。


正義だ悪だ、人の命だ、民族の誇りだ何だ、の高尚に見える「国の正論」なるものが、「戦争」になるとその解決方法は単に「暴力での決着」でしかないからだ。


難しい言葉や資料を並べ立てて、相手の短所を延々と罵りあって、最後はカナヅチで相手の頭を叩き割る、みたいなのが「戦争というもの」だろう。



その「カナヅチで相手の頭を叩き割る」状況が「ダンケルク」ではそのまま描かれている。




ダンケルクを観た直後に、おっくんは、「こんなもん全世界人類必見の映画ですわ」と言っていた。


僕もそう思う。




ところで、ミサイルだ選挙だ、大衆迎合主義だ、右だ左だ陰謀だ、とかなんとか。

やたらと騒がしい世の中になってきた。



僕には、直接「食べ物」に影響する地質や水質の汚染や、東北や九州の被災者救済や、気候変動の根本的解決の方が大事だと思えるのだけれど、あいかわらず人類は「カナヅチで人を殴る話」をしている。



こんな時代にはどんな映画を観るべきか?


それはもう「フォレスト・ガンプ」しかないだろう。

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いやいや、もちろん他にもいい映画はあるけれど、今の僕が考える最高の「今観るべき映画」はこれだと思う。


もちろん、大半の人はこの映画を観ていると思う。

何しろこの映画、恐ろしく深いテーマを抱えているのに「ユーモアたっぷり」でテンポもいい。

泣かせどころも「あざとさ」や「押し付けがましさ」がない。



この映画が現代に観るといい理由の1つは、主人公ガンプが信じる相手がたったの4人だけ、という部分に集約される。